研究課題/領域番号 |
19J01133
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
池端 蕗子 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 特別研究員(PD)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2022-03-31
|
キーワード | 国際規範形成 / ウラマー・ネットワーク / 宗教と国際関係 |
研究実績の概要 |
4月~5月にかけては、前年度の1~2月にヨルダンの首都アンマンで行ったフィールドワークのデータ整理を行うとともに、新型コロナウイルス感染拡大の最初期であったアンマンの様子について執筆し、立命館大学中東・イスラーム研究センター(CMEIS)刊行のレポートとして出版を行った。6月~7月にかけては、イスラーム法学者ら(ウラマー)の著作分析を行い、彼らが「集団的イジュティハード」概念をどのように説明しているかについてデータの収集を行った。本年度は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、予定していたフィールドワークが叶わなくなったため、その代替策として、特に文献資料の収集と分析に努めた。 8月には、ヨルダン・ハーシム王家に属すると同時に、イスラーム法学も修めた人物である、ガーズィー・イブン・ムハンマド王子の著作分析を行い、彼の思想と諸活動についても分析を行い、8月末の日本中東学会年次大会特別研究集会において、口頭発表を行った。9月には、科研:基盤A「現代イスラームにおける法源学の復権と政治・経済の新動向:過激派と対峙する主流派」主催のイスラーム法研究会において、研究成果について口頭発表を行った。 10~11月には、4月以降行ってきた研究の精査を行い、11月にはその成果を立命館アジア太平洋大学主催の国際会議18th Asia Pacific Conferenceにおいて発表を行った。異なる分野の研究者が多く参加する国際会議であったため、興味深いフィードバックを得ることができた。 上記と並行して、特に6月~2021年2月には、単著の原稿、分担執筆の原稿、そして英語論文の執筆と修正、刊行に関わる作業を行った。単著は2月末、分担執筆の書籍は3月初めに刊行され、英語論文も3月刊行の論文雑誌に掲載された。3月は、最終年度となる次年度に向けて、本研究の問題・課題を洗い直した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、予定していたフィールドワークが叶わなくなったが、その代わりに海外からの資料収集に努め、イスラーム法学の分野における学派間の融和や合意形成に関わる文献の調査を進めた。 オンラインで開催された研究会やシンポジウムにも積極的に参加し、研究成果を発表するとともに、国内外の研究ネットワークの構築に取り組んだ。その研究内容は、研究会で発表してフィードバックを得て、共著の英語論文として発表した。 さらに今年度は博士論文の内容をアップデートした単著の刊行も行い、国際関係の中で宗教が創り出すコンセンサスの内容と意義について明らかにした。そうしたコンセンサス形成を、イスラーム世界を代表した形で行う国際機構であるイスラーム協力機構についても、メディアとネットワークという観点から1章分の原稿にまとめ、書籍の分担執筆として刊行された。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、より多くの法学者の法判断、より多くの事例抽出、そしてそれらの法判断がメディアでどのように扱われ、評価されたか/されなかったかについて、さらなる資料収集と分析が必要である。したがって、本年度末には先行研究、一次資料の収集を追加して行った。来年度4月以降はこれらの読解・分析から進め、研究の取りまとめと積極的な成果公開を目指す。
|