研究期間2年目に当たる令和2年度は、国内における資料収集と分析を行った。『臺灣文化志』(昭和3)、『朝鮮彙報』(大正8)、『臺灣慣習記事』(明治40)など重要な資料を蒐集した。たとえば伊能嘉矩著『臺灣文化志』は、10年間外務省所属として台湾に駐在していた著者が、台湾の文化について具に記した当時初めての刊行物である。 現在の調査では、他の文献にも類似の記述があることが分かっている。以上の記述から、当時の日本の知識人が、台湾の為政者・知識人による政策や、民俗慣行への評価を大いに引き継ぎながら、台湾の葬送文化を記述していることが見て取れる。 なお本年度の研究発表としては、博士論文をもとにした単著を刊行した。また近年の研究成果を、複数の共著本の論文・コラムとして収録した。
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