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2020 年度 実績報告書

創薬にむけた膵癌の進展過程におけるクロマチンリモデリング因子BRG1の役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19J01318
研究機関近畿大学

研究代表者

津田 喬之  近畿大学, 医学研究科, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2019-04-25 – 2022-03-31
キーワード膵癌 / エピジェネティクス / SWI/SNF / BRG1 / 転移
研究実績の概要

本年度において、これまでに作成してきた膵特異的なKras,p53変異により膵癌が形成された後に形成された膵癌内でBrg1をノックアウトする遺伝子改変マウスモデルの解析を進め、Brg1ノックアウト群ではBrg1非欠失群と比較して腫瘍の増大が抑制されることを見出した。また、同マウスから複数の膵癌細胞株を樹立し、in vitroにおいてBRG1をノックアウトすることに成功した。In vitroにおいて、この細胞株の詳細な解析を行い、腫瘍の増殖が低下すること、また、細胞周期の停止、アポトーシスがみられること、さらには三次元培養を行うことで幹細胞性が著明に低下することを見出した。また、同細胞株をマウス皮下に移植しその後タモキシフェン投与を行いBrg1を欠失させ、in vivoにおいてもBrg1ノックアウトにより腫瘍増殖能が低下することを直接的に確認した。さらにBrg1が転移に必要かどうかを明らかにするため、膵癌細胞株をマウス脾臓から注入することにより経門脈性の肝転移を模した脾注肝転移モデルを作成し、肝転移の成立にBrg1が必須であることを明らかにした。この変化がどのような分子的メカニズムで起こるのかを解析するため、BRG1のノックアウト前後の遺伝子発現、クロマチン開閉の変化の網羅的な解析を行った。具体的には上記で作成した膵癌細胞株を用いてマイクロアレイ、ChIP-Seqを行った。
また、ヒト膵癌細胞株にBRG1ノックダウンを行い、2Dで増殖能、3Dにて幹細胞性が低下することを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナ禍で研究室への立ち入りが制限されたことにより、十分な実験時間をとることができず、研究計画に遅れを生じ、特にヒト膵癌細胞株/オルガノイドを用いた詳細な解析を行うことができなかった。
しかし、マウスモデルを使用した実験系に関しては概ね予定通りの解析を行うことができたと考える。

今後の研究の推進方策

本年度に行ったRNA-seq/ChIP-seqのデータを詳細に解析し、同定したBRG1の下流遺伝子群の発現をRNAiにて調節し、in vitro,in vivoでの評価を行い、BRG1欠失と同様の抑制効果を示す重要な下流遺伝子・pathwayを見出す。
各種のHDAC阻害薬、EZH2阻害薬、AURKA阻害薬がBRG1が欠失した細胞株やBRG1をノックダウンしたヒト膵癌オルガノイドに対して抗腫瘍効果をみとめるかどうか検証する。1で同定した下流遺伝子の阻害によりBrg1欠失と同様の抗腫瘍効果がみとめられるかどうか検証する。効果のあった薬剤をヒト膵癌オルガノイド/細胞株を用いたin vivo同所移植モデルに投与し、有効性・忍容性を検証するとともに、ヒトを対象とした臨床試験の準備を行っていく。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] The role of the SWI/SNF chromatin remodeling2021

    • 著者名/発表者名
      Motoyuki Tsuda, Akihisa Fukuda, Munenori Kawai, Osamu Araki, Hiroshi Seno
    • 雑誌名

      Cancer Science

      巻: 112(2) ページ: 490-497

    • DOI

      10.1111/cas.14768

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2021-12-27  

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