研究課題/領域番号 |
19J01367
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
穂積 裕太 国立研究開発法人情報通信研究機構, 電磁波研究所宇宙環境研究室, 研究員
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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キーワード | 極中間圏雲 / 追跡風 / 静止軌道気象衛星ひまわり |
研究実績の概要 |
ひまわり8号全球画像データを本研究の研究対象としている極域中間圏の解析に適したデータ形式に変換しデータ整備を進めた。地球リム領域の輝度データを高度-水平距離グリッドのデータにリサンプリングした。高度1 km×水平距離1 kmのグリッドへバイリニア補間法を用いて変換する手法を開発した。 本年度はひまわり8号全球画像中に見られる極中間圏雲に対して構造追跡を行うことで極中間圏雲の水平移動速度を推定する手法を開発した。極中間巻雲のデータは10分毎に取得されているが、ある時間の極中間圏雲の構造に対して10分後に相関係数が最大となる極中間圏雲の構造を探すことで10分間の極中間圏雲の移動距離を導出しその水平移動速度の求める手法を開発した。 開発した手法を用いて極中間圏雲の水平移動速度を調査し、極中間巻雲が1日の中で東西方向に10-30m/sの速度で移動が起きていることを示した。2018年北半球夏季のデータについて開発した手法を適用し、極中間圏雲の移動速度の季節内変化や平均移動速度などを導出し、それらが過去の中間圏風速観測とよく一致することから極中間圏雲の水平移動が概ね背景風の影響によることを示した。 従来の極中間圏雲の構造追跡は地上観測あるいは低軌道衛星取得のデータを用いて行われてきたが観測可能なローカルタイムに制限があり極中間圏雲の動きが一日の間でどのように起こっているかは不明であった。本研究で開発された手法により追跡風の風速場を1日の間で広範囲かつ連続的に観測できるようになったことは、中間圏の大気力学研究に新たな観測データを提供できるという点において意義のある結果だと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
静止軌道衛星データ中の極中間圏雲の構造を追跡し風速場を導出する手法の開発に大きな進展があったことから、"(1) 当初の計画以上に進展している" と考える。
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今後の研究の推進方策 |
以下の内容を実施する。 (1) これまでに開発した手法、手法を用いた解析結果をまとめ投稿論文としてまとめる。 (2) 極中間圏雲追跡風の地方時変動、短時間変動を調査する。 (3) 開発した解析手法を長期データに適用し追跡風速のデータベース作成を作成し長期変動、年々変動を調査する。
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