研究課題
静止軌道気象衛星ひまわり8号全球画像中に見られる極中間圏雲に対して構造追跡を行うことで極中間圏雲の水平移動速度を推定する手法を開発した。開発した手法を2018年北半球夏季のデータに適用し、1シーズン中の極中間圏雲の水平移動を統計的に調査した。平均の東西方向の速度は西向きに7m/sであった。また西向きの速度は7月に極大をとった。平均速度や季節内の変動、日々変動の程度などは、過去の中間圏の風速観測のそれらの値とよく一致した。開発した手法で導出された極中間圏雲の水平移動速度は概ね背景風による輸送の効果により支配されていることが統計的に示された。極中間圏雲の1日の間での動き、地方時変動を調査した。その結果、振幅10-30m/s程度で極中間圏雲が東西に動いていることが示された。スペクトル解析の結果、その東西の動きには12時間、14.8時間、24時間周期の成分が強いことが分かった。今回の結果と過去の風速計測などの研究結果を合わせて考えると、背景の重力波や大気潮汐波の影響を強く受け極中間巻雲は水平方向に大きく輸送されていることが示された。以上の結果を論文としてまとめ学術雑誌で発表する(Hozumi et al., JGR, 2021)とともに、国内外の学会において報告した。開発した解析手法をひまわり8号が観測を開始した2015年以降のデータに適用し、風速場長期データとして整備した。従来の極中間圏雲の追跡風計測あるいは中間圏の風速計測には、観測可能ローカルタイムの制限や限定的な観測視野という制限があったが、本研究で開発した静止軌道から追跡風導出手法により、中間圏の風速場を広範囲かつ連続的に捉えることが可能となった。中間圏の大気力学研究において新たな観測データを提供できるという点において意義のある結果だと考える。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件)
Progress in Earth and Planetary Science
巻: 9 ページ: 11
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