研究課題/領域番号 |
19J01485
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
高木 佐保 麻布大学, 獣医学部 伴侶動物学研究室, 特別研究員(SPD)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2023-03-31
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キーワード | ネコ / 異種間コミュニケーション / 社会認知 / 生後環境 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、伴侶動物であるネコがヒトと異種間コミュニケーションをとる際の基盤となる認知能力について調べることである。ネコは生後ヒトと暮らすうえでコミュニケーションをとる認知能力を学習している可能性が高い。本研究はこの点に着目し、様々な飼育環境で育てられたネコや生後の経験による認知能力がどう変化するのかを対象に、比較研究をすすめる。 まず、ネコカフェで飼育されているネコと家庭で飼育されているネコを対象に、ヒトの言葉の覚えやすさが異なるのかを調べた。乳幼児の言語理解の研究でよく用いられるスイッチング課題をネコに対して行った。無意味語AおよびBと同時に視覚刺激AおよびBを複数回呈示した後、それらの組み合わせを変えた際に、変化を検出できるのかを調べた(実験1)。その結果、ネコは組み合わせを変更した試行で注視時間が増加し、変化を検出したことがわかった。つまり、ネコは無意味語Aと視覚刺激Aのマッチングを行った。無意味語ではなく、電子音にし、社会的な要素を除いた統制実験を行ったところ(実験2)、組み合わせを変更した条件も変更しなかった条件も差はなく、電子音と視覚刺激のマッチングは行っていないことがわかった。また、飼育環境による違いはみられなかった。以上のことから、ネコは生後の環境によらず、ヒトの言葉を覚える準備性がみられることが明らかになった。 また、コロナ禍において人々の生活が変化したことにより、飼育されている動物にどのような影響があるのかを質問紙を用いて調べた。その結果、ネコへの接触が増加した群でストレス行動が増加していることがわかった。また、コロナ禍前後でヒトへ注意を惹く行動が増加していることがわかった。人々が家にいる時間が増えたことによって、ネコの行動にも変化が生じていることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍により、実験が制限された時期もあったが、当初の計画通り、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
リモートで行える実験なども扱いつつ、計画通り研究を進めていく。
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