研究実績の概要 |
本研究課題では、フレイル該当率の地域差に着目し、その要因を個人因子と、個人の環境を取り巻く環境を含めた視点から探ることを目的とした。2019年度に実施した、居住地域別のフレイルの関連要因についての検討に続き、2020年度も地域特性に着目した検討をおこなった。主な成果は以下の2点である。 一つ目の成果は、居住地域ごとのフレイル高齢者の交通行動特性の違いを明らかにしたことである。この検討では、交通行動(歩行、自転車利用、自動車利用、公共交通機関の利用)が地域のよって、またフレイルの該当有無によってどのように異なるのかについて分析し、フレイル高齢者の交通行動の制限は、都市部に比べて郊外や農村地域で顕著になることを確認した。これら一連の結果をまとめた論文は、国際誌に掲載された( Abe et al., Int J Environ Res Public Health, 2020)。 二つ目の成果は、フレイル該当率に及ぼす因子として、フレイル予防につながる要因とフレイルからの改善に関連する要因を示したことである。この研究は農村地域をフィールドとして実施され、その両方に寄与する要因の一つとして、農作業をおこなっていることが抽出された。この結果の一般化可能性については、さらなる検討が必要であるが、農村部でのフレイル該当率の低下に寄与しうる知見が得られた。これら一連の結果をまとめた論文は、国際誌に掲載された(Abe et al., Maturitas, 2020)。
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