リソソームタンパク質であるCathepsin-Dの局在の変化を解析することで、MALMにおけるMieapの役割の解明を目的に以下の研究を行なった。 ①Mieapが存在しない条件におけるリソソームタンパク質の局在解析:LAMP1、Cathepsin-D、Cathepsin-Bの3つのリソソームタンパク質にGFPあるいはRFPの蛍光タンパク質を融合させ、ライブセルイメージング解析により、ミトコンドリアとの関係を解析した。その結果Mieap欠損細胞であるHeLa細胞でCathepsin-Dのミトコンドリア局在が確認された。また、mAppleの蛍光タンパク質を融合させたTOM20(ミトコンドリア外膜タンパク質)を発現させたところ、ミトコンドリア外膜を通過して内部に局在することが超解像イメージング解析により示唆された。 ②Mieapが存在する条件でのCathepsin-D局在解析:細胞がストレスを受ける状況において、MieapはCathepsin-Dをミトコンドリアへ移行させやすくする、と仮説を立てて立証を行った。Cathepsin-DにGFPを融合させたベクターとDsRed-mitoベクターを導入したHeLa細胞に対して、アデノウイルスを用いてMieap αを10MOI感染させて、IRを60Gy照射したところ、Cathepsin-Dがミトコンドリアに分布しやすくなる結果が得られた。 ①、②の結果から、Mieapの有無に関わらずリソソームタンパク質であるCathepsin-Dはミトコンドリアに移行するといった、特有でかつ未知の機能があることが推測された。MALMが生じる際には、ストレスを受けた細胞においてMieapがリソソームタンパク質をミトコンドリアに移行させている、と考えていたが、Cathepsin-Dに関してMieapは起爆剤ではなく、促進剤として作用することが考えられる。
|