研究課題/領域番号 |
19J01581
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
稲井 啓之 国立民族学博物館, 学術資源研究開発センター, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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キーワード | 水産資源管理 / アフリカ / 人文学的アプローチ / 「よそ者」 / 協働 / 地域コミュニティ / 内水面漁業 |
研究実績の概要 |
スペイン王国・バルセロナ,カメルーン共和国・アダマワ州および東部州,フランス共和国・パリにおいて,資料収集と研究打合せ,およびフィールドワーク調査を実施した。 まず,スペイン王国・バルセロナにある北極域研究センター図書館にて水産資源利用者の社会関係の研究に係る資料の収集・調査等をおこない,社会関係資本の視点からの水産資源管理アプローチという情報について,バルセロナ自治大学・極地研究所において議論し,その情報の確度の確認およびアフリカにおける応用可能性などといった当該研究における別の角度からの取組について知見を得て,今後の「よそ者」である出稼ぎ漁師と地域コミュニティとによる共同水産資源管理構築に関する研究を進める上での問題点を解決することができた。 次に,カメルーン共和国において内水面における水産資源利用実態解明のために現地調査を実施した。同国アダマワ州にあるムバカウ湖および東部州にあるロム・パンガール湖の2つの湖において,漁業実態および流通実態に関する観察および聞き取り調査を実施した。これによって,現在のカメルーンにおける水産物生産と流通の全容が明らかとなり,水産資源管理にまつわる問題点を明らかにすることができた。 最後に,フランス共和国パリにあるパリ第一パンテオン・ソルボンヌ大学およびフランス国立開発研究所において,アフリカにおけるコミュニティ主導水産資源管理研究に係る資料の収集・調査等をおこなった。パリ第一パンテオン・ソルボンヌ大学地理学部において議論し,これらの情報の確度やこれからの研究発展の可能性などについての知見を得て,次回調査での具体的な調査項目を立て,プロジェクト遂行の目処を付けることができた。また,共同研究ユニットとの国際共同研究の実施を取りつけた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、現地調査や海外の研究者との議論をとおして多様な情報を収集することができた。カメルーンにおける水産行政の管轄省である牧畜・漁業・畜産省の大臣と面会し,本研究の趣旨について賛同を得,調査の協力を取りつけることができた。調査対象地では,現地の水産行政官の協力を得て,円滑に調査を実施することができ,次年度の調査のための礎を築くことができた。調査対象である「よそ者」の漁師と現地住民との協働による水産資源管理アプローチの構築にむけた基本的な情報を収集できたことは,本研究の課題を遂行するうえで,十分に成果があったと考える。ただし,成果の発表に関しては十分とは言えず,今後の課題だと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は令和元年度の学会発表および現地調査の成果を論文として公表することを第一に進める。また,スペインでの国際学会とフランスでの研究会での報告と,カメルーンでのフィールドワーク調査を実施し、乾季の漁業活動に関する量的データの収集と,調査対象地の湖における「よそ者」漁師と地元住民との社会関係についての聞き取り調査をおこなう。 なお,コロナウィルスの影響で渡航ができない場合は,電話やインターネット媒体を用いて渡航予定先の研究者や調査協力者などと連絡を取りあって情報収集や議論をおこない,論文執筆に専念する。
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