研究実績の概要 |
本研究は、ギリシャを中心とした東地中海の小規模漁業にみられる漁場利用の実態と漁業管理のあり方を解明し、あわせて日本国内の小規模漁業と比較することで両者の共通性や課題を明らかにすることを目的としている。 COVID-19の蔓延が収束せず、本年度も東地中海地域での現地調査は実施できなかったため、既存の調査結果のとりまとめに注力した。その成果として、単著論文“Centralization under decentralization: The process and impact of the reform of fishers’ club in Lesvos, Greece”が国際学術誌Marine Policyに掲載された。また、本研究の派生的な成果として、主要な対象国であるギリシャの文化と資源利用について紹介した「珍品図鑑 コボロイ ギリシャの嗜好品“悩みのビーズ”」を『ビオストーリー』に寄稿した。そのほか、マクロな社会経済の変動が沿岸地域の小規模漁業管理にどのような影響を与えるかという本研究の視座に基づき、論文「北海道南西部におけるナマコブームへの多様な適応・活用戦略」を『地域漁業研究』に投稿し、2021年度末時点で掲載が決定している。 学会発表としては、2021年8月にオンライン開催された34th International Geographical Congressに参加して口頭発表およびポスター発表をおこなった。また、2021年10月には国際コモンズ学会にオンライン参加して、本研究の主要課題である共有資源管理について情報交換や議論をおこなうことができた。2021年11月には地域漁業学会のシンポジウム「多面的視点から漁業地域活性化を考える」に登壇し、地理学的視点から考える漁業地域の振興について報告した。
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