研究課題/領域番号 |
19J01870
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
菊地 デイル万次郎 東京工業大学, 工学院, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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キーワード | 流体力学 / 動物行動学 / 行動生態学 / 海鳥 / クチバシ |
研究実績の概要 |
ウミスズメ科ウトウが繁殖期にクチバシ上に備えるツノの機能を探る流体力学実験に取り組んだ。ウトウの標本を3Dスキャナで計測し、コンピュータ上で編集し、高精細3Dプリンタで模型を作成した。模型を回流水槽内に設置し、飛行と遊泳の状態を再現した流体力学実験で、抵抗を計測した。比較のために、ツノの形状を操作したり、餌を咥えたりした状態でも同様に実験した。その結果、餌を咥えている状態でツノがあると抵抗を低減する効果が示唆された。 ウトウのツノの周囲の流れを可視化する粒子画像流速測定実験にも着手した。まだ予備実験段階だが、ツノがあることによって飛行および遊泳時の流れに大きな影響を及ぼさないことがわかった。また、ツノの後方で渦が生じる様子が観察され、ツノによる抵抗低減の効果との関連も示唆された。 ウトウ以外の種を対象にした実験としてペンギン類の標本も3Dスキャナで計測した。スキャンデータをもとに、クチバシの流体力学的な機能、水かきや頸部の屈曲運動の効果を検証する準備を進めている。 また、運動計測用に新型ビデオロガーを開発し、水族館で飼育するペンギン類に装着して、遊泳時の運動を撮影することに成功した。ペンギン類が遊泳時に水かきを屈曲させ、舵として使っている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で計画していた流体力学実験に取り組み、仮説を支持する結果が得られつつある点は順調である。また、種間比較のための準備も進められ、翌年度以降の実験の準備も進められた。一方で、野外調査は計画通りに実施できなかったため、翌年度以降に計画を修正する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、当初のスケジュールでの研究の推進は難しい状況である。2020年に予定していた野外調査は既に断念したため、計画を修正して取り組む必要がある。また、研究室で取り組んでいた実験も緊急事態宣言とともに停止しており、再開を待っている。今後も影響が続くことを考慮し、野外調査よりも研究室での実験を主軸に、より発展的な計画を再考しながら進めていく。
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