本研究は、コンビナトリアル手法と機械学習を組み合わせた磁歪材料の組織構造予測手法の確立を目的としている。本年度は、2021年4月から2022年3月まで米国メリーランド大学へ渡航し、本研究課題の推進に必要な技術・ノウハウを取得するための在外研究を実施した。その成果の一部は学術論文誌に投稿し、現在、査読中である。さらに、本テーマに関連する他の研究テーマにおいて、学会誌への発表5件、国内学会発表2件、国外学会発表2件を実施した。 渡航先の米国メリーランド大学ではIchiro Takeuchi研究室に所属し、主に機械学習を利用して新規な機能、プロセス、組織構造などの材料設計手法の開発を実施した。特に、そこで学んだ機械学習の手法を参考に本研究課題を進展させ、高い予測精度での磁性材料の組織構造の予測に成功した。さらに、特徴量重要度の寄与度ランキングを算出することにより、バルクハウゼンノイズ発生モデルが申請者の仮説に合致することを示すことができた。帰国後もTakeuchi研究室で取り組む機能性材料の組織構造と機能発現に関するプロジェクトを共同研究者として継続しており、引き続き、そのデータ取得、論文執筆に関する議論を実施していく予定である。 当初予定としていた実験手法であるコンビナトリアル手法を利用した薄膜材料の組織制御による多数組織解析への展開は、予期しないいくつかの技術課題により本研究期間での達成は叶わなかった。しかしながら、本研究課題の目的・コンセプトである、機械学習を援用したバルクハウゼンノイズ解析による磁性材料の微構造解析とそのマクロ視点からの磁化反転挙動と動的な磁歪挙動に関する知見を取得し、更なる研究課題への進展に期待できる成果を得ることができた。
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