研究課題/領域番号 |
19J10033
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中山 省悟 九州大学, 医学系学府, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | タンパク分解 / ユビキチン / ミエリン |
研究実績の概要 |
本研究は、中枢神経系におけるミエリン形成のマスター転写制御因子であるMyRFの分解制御機構を解明し、本経路を軸に脱髄疾患の治療への応用を目指すものである。 当研究室では、MyRFのユビキチン依存性分解に、ユビキチンリガーゼFbxw7が関与していることを、質量分析計を用いた研究で発見した。これまでにこのFbxw7-MyRF経路が確かなものであるかどうか、組織学的な実験や生化学的な実験を使って明らかにしてきた。今年度も引き続き行った研究と、新たに作製したマウスや細胞を用いた実験により、おおむね計画通りに研究が進行している。脱髄疾患への治療応用へ向けた研究については、共同研究により開発してきたFbxw7阻害剤の作製がやや難航しているものの、他のアプローチによるFbxw7阻害剤探索も試みており、全体的に見れば今後の実験に及ぼす影響は軽微であると思われる。また、Fbxw7阻害剤の評価系の作製も行っており、薬剤入手後に速やかに評価、応用していく準備も順調に進行している。 また、本研究において着目しているFbxw7は、MyRF以外にも様々な基質をユビキチン化し、分解に導いていることが明らかとなっている。これらを包括的に理解し、全体像を把握することは、Fbxw7をターゲットとした脱髄疾患への治療を試みるうえで非常に重要なことである。そこで、当初の計画にはなかったが、Fbxw7やその関連分子のノックアウト細胞等を用い、主に次世代シーケンサーを用いたRNA-seq解析をはじめとしたトランスクリプトーム解析、ゲノム解析等を行っている。これらを通じ、生体内におけるFbxw7を中心としたさまざまな分子の制御機構と、その意義について広く解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、中枢神経系においてミエリンを形成するのに重要な転写因子であるMyRFが、ユビキチンリガーゼFbxw7によってユビキチン化され、分解に導かれることを明らかにしてきた。本研究では、このFbxw7-MyRF経路についてより理解を深め、脱髄疾患への治療応用を目指したものである。この経路をよりよく理解するために、時空間特異的Fbxw7ノックアウトマウスを準備し、生化学的な解析をはじめ、様々な解析を行ってきた。この点については、おおむね期待通りに研究が進展している。また、将来の治療法、治療薬開発に向け、評価系の確立も進めており、候補薬剤の入手後にすぐに評価を行えるように準備できている。全体的に見ても期待通りに研究が進展しており、将来的な脱髄疾患への治療応用が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、Fbxw7-MyRF経路の生体における意義の探索を行っていく。また、脱髄疾患の治療応用を見据えた実験も行っていく。さらに、治療応用を考慮した際、副作用等も予想されるため、これらを考慮した実験も計画している。学術的にも、Fbxw7の他の基質との関係を包括的に理解することも非常に重要であるため、次世代シークエンサーを用いた実験・解析もより一層進めていく。
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