研究課題/領域番号 |
19J10035
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
枝光 智大 信州大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | AhR / アトピー性皮膚炎 / 化合物ライブラリー / Artemin |
研究実績の概要 |
先行研究でのChIP-seqで、神経栄養因子Artemin(Artn)遺伝子上流にAhR-CA(恒常活性化型AhR)が結合する領域が存在することが示された。このAhR-CA結合領域にはAhR結合配列(XRE)が存在するが、Artn遺伝子から約52 kbと離れており、AhRがArtn遺伝子を直接制御するか不明だった。そこで、ArtnがAhRの標的遺伝子かどうか調べるために、このXREを含むAhR-CA結合領域をCRSPR/Casにより欠失させたArtnΔXREマウスを作製した。ArtnΔXREマウスの表皮ではAhRアゴニストの外用によるArtnの発現誘導が野生型マウスと比較して抑制された。さらに、AhR-CAマウスの表皮で高発現するArtnの発現も、AhR-CA::ArtnΔXREマウスでは抑制された。これらの結果から、52 kb上流のXREはエンハンサーとして機能しており、AhRがArtn遺伝子の発現を直接制御することが分かった。次に、AhR-CA::ArtnΔXREマウスの皮膚炎と掻破行動を観察した。アトピー性皮膚炎患者に特徴的な痒み過敏状態を評価するために、マウスの皮膚に微弱な触覚刺激を加えて誘導される掻破行動を観察したところ、AhR-CAマウスにおいて高頻度で誘導される掻破行動はAhR-CA::ArtnΔXREマウスで有意に抑制された。一方、皮膚炎の重症度に有意な違いは認められなかった。これらの結果から、AhR-CAマウスにおいてAhRによるArtn遺伝子の直接的な発現誘導が痒み過敏の形成に寄与することが確認できた。 次に、アトピー性皮膚炎に対する新しい治療薬としてのAhR抑制剤の開発を目指した。化合物ライブラリーから新規AhR抑制剤を探索するため、AhR活性の評価系として、AhRレポーター遺伝子をヒト表皮細胞由来HaCaT細胞に安定発現させ、細胞株を樹立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゲノム編集技術を用いてArtnΔXREマウスを作製し、AhRがArtnを直接制御することを解明した。また、化合物ライブラリーを用いた新規AhR抑制剤探索のためのスクリーニング評価系を樹立した。
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今後の研究の推進方策 |
樹立したAhRレポーター細胞を用いてレポーターアッセイを行い、化合物ライブラリーからAhR抑制作用のある化合物をスクリーニングする。さらに細胞毒性試験やリアルタイムPCRを行い候補となる化合物を選抜する。候補化合物が皮膚炎モデルマウスの皮膚症状や痒みを改善する効果があるか確かめる。
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