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2019 年度 実績報告書

新規サーモセンサーGPCRの同定とサーモジェネティクスへの利用

研究課題

研究課題/領域番号 19J10052
研究機関甲南大学

研究代表者

大西 康平  甲南大学, 自然科学, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2019-04-25 – 2021-03-31
キーワードC. elegans / Temperature / GPCR / Cold tolerance
研究実績の概要

本研究では、2つの方法を用いて新規のGPCR型温度センサー分子の候補遺伝子を同定し、解析を行った。1)RNAiによる遺伝子ノックダウン:RNAiを用いてGPCR遺伝子をそれぞれノックダウンして低温耐性を測定したのち、低温耐性に異常のあるGPCR遺伝子に関して発現解析を行い、温度受容ニューロンで発現しているものを同定した。2)当研究室において、温度受容ニューロンでの遺伝子発現プロファイルを調べる解析が行われた。その解析結果の中から、温度を受容しないニューロンと温度受容ニューロンを比較したデータを用いて、温度受容ニューロンで発現変動しているGPCRを幾つか同定した。これらをCRISPR/Cas9を用いて遺伝子をKOしたところ、いくつかの変異体で低温耐性異常があった。1)RNAiによる遺伝子ノックダウンから1つの候補遺伝子について発現解析を行ったところ、ADLと呼ばれるニューロンで発現していることがわかった。これまでの当研究室の解析からADLは温度受容ニューロンとして機能することが明らかとなっており、候補遺伝子の変異体は、これまでに報告されているADL温度受容ニューロンが異常になる変異体が示す低温耐性異常と同様の表現型であった。そこでカルシウムイメージングを用いてADLニューロンの温度に対する反応性を測定した結果、野生株と比較して、候補遺伝子の変異体ではADLの温度応答性が顕著に低下していることが明らかとなった。そして、これらの候補遺伝子の変異体の異常は、候補遺伝子のcDNAをADL特異的に発現させることにより回復したことから、候補遺伝子はADLにおいて機能し、温度情報伝達に関与することが示唆された。そこで、候補遺伝子が温度を受容するかを調べるために、温度上昇に対して反応しない味覚ニューロンに候補遺伝子を発現させると、味覚ニューロンが温度上昇に対して反応する可能性が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

理由 線虫C.elegansを用いて動物の温度受容メカニズムの解明を目指して新規のGPCR型温度センサー分子の探索を試み、候補となる複数のGPCR遺伝子を同定した。その中で、1つの候補GPCR遺伝子に関して解析を行い、異所的発現解析などからその候補GPCR遺伝子が温度を受容している可能性を示す結果が得られたため。

今後の研究の推進方策

本申請者は、C. elegansで低温耐性に関わる新規の候補GPCR遺伝子を発見し、温度受容ニューロンにおいて温度情報伝達に関与する可能性を得た。さらに、温度上昇に対して反応しない味覚ニューロンに候補遺伝子を発現させると、味覚ニューロンが温度上昇に対して反応するようになる可能性が得られたことから、候補遺伝子が温度受容体として機能する可能性が得られた。現在はより詳細に候補遺伝子の温度応答性、反応する温度閾値などを調べるために、培養細胞やアフリカツメガエルの卵母細胞に候補遺伝子を発現させ、電気生理学的解析を行おうとしている。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] The mechanoreceptor DEG‐1 regulates cold tolerance in Caenorhabditis elegans2020

    • 著者名/発表者名
      Takagaki Natsune、Ohta Akane、Ohnishi Kohei、Kawanabe Akira、Minakuchi Yohei、Toyoda Atsushi、Fujiwara Yuichiro、Kuhara Atsushi
    • 雑誌名

      EMBO reports

      巻: 21 ページ: 1, 14

    • DOI

      10.15252/embr.201948671

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 線虫C. elegansの低温耐性におけるGPCR型温度センサー分子2019

    • 著者名/発表者名
      大西康平、三浦徹、富田雄介、大杉和寛、高垣菜式、太田茜、久原篤
    • 学会等名
      新学術領域研究「温度生物学」領域会議
  • [学会発表] C. elegansの低温耐性に関与するGPCR型温度センサーの同定と解析2019

    • 著者名/発表者名
      大西康平、三浦徹、宇治澤知代、太田茜、久原篤
    • 学会等名
      線虫研究の未来を創る会2019
  • [学会発表] 線虫C. elegansの低温耐性に関わるGPCR型温度センサー同定と解析2019

    • 著者名/発表者名
      大西 康平、三浦 徹、宇治澤 知代、太田 茜、久原 篤
    • 学会等名
      日本動物学会 第90回 大阪大会
  • [学会発表] C. elegansの低温耐性現象における温度受容体GPCR2019

    • 著者名/発表者名
      大西康平、三浦徹、宇治澤知代、太田茜、久原篤
    • 学会等名
      第43回日本分子生物学会年会

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公開日: 2021-01-27  

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