本年度は、本研究課題の主な研究対象であるp進局所体上の双曲的曲線に対する絶対版Grothendieck予想に関連した問題として、次のような成果を得た: 1.高次元局所体の様々な不変量をその絶対Galois群から単遠アーベル的に復元し、ある条件下では体の同型類が絶対Galois群から復元されることを示した。さらに、混標数高次元局所体がKummer忠実であることを示した。この結果と星裕一郎氏による結果を組み合わせることで、混標数高次元局所体上のaffineな双曲的曲線に対する半絶対版Grothendieck予想型の結果が得られた。 2.剰余体が完全な混標数完備離散付値体の分岐フィルトレーション付き絶対Galois群から様々な不変量を単遠アーベル的に復元した。その結果として、ある特定の条件の下で、体の同型類が分岐フィルトレーション付き絶対Galois群及び剰余体の同型類から復元されることを示した。さらに、剰余体が完全な完備離散付値体の絶対Galois群の間の分岐フィルトレーションを保つ準同型についても研究し、その単射性に関するいくつかの結果を得た。その応用として、Victor Abrashkin氏による局所体の分岐フィルトレーション付き絶対Galois群に対するNeukirch-内田型定理の改良版や、望月新一氏によるp進局所体上の双曲的曲線に対する半絶対版Grothendieck予想に関する結果の一般化が得られた。 これら1.及び2.の成果をそれぞれ論文にまとめた(いずれも投稿中)。 また、これらの成果について、九州大学におけるオンライン研究集会で講演を行った。
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