2020年度は公平性、パレート効率性、オークションの収益に重きを置きつつ耐戦略的なオークション・メカニズムの研究を行った。具体的な研究結果は以下のとおりである。 1) 選好が単一需要かつ所得効果をもつ環境において、公平性、耐戦略性、一般的な性質(個人合理性、非浪費性、支払非負性)を満たすオークションのなかで収益を最大化するルールは最小価格ワルラスルールのみであることを示した。既存の研究ではa)入札者の数が商品数を上回り、b)すべての財がgoodであり、かつc)オークションの性質に非廃棄性を課した場合に、この結果が成り立つことが知られていたが、本研究ではこれらの仮定を排除してもなお収益最大化問題が解けることを明らかにした。これらの研究結果をまとめディスカッション・ペーパーとして公刊し、Social Choice and Welfareに掲載された。 2) 選好が単一需要かつ所得効果をもつ環境において、効率性、個人合理性、支払非負性、耐戦略性を満たすルールは最小価格ワルラスルールのみであることを示した。既存の研究では入札者の数が商品数を上回るケースでのみ同様の特徴づけがなされていたが、本研究ではこの仮定を排してもなお特徴づけが可能であることを明らかにした。これらの研究結果をディスカッション・ペーパーとしてまとめ公刊した。
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