本研究では、需要増が見込まれ、日本では水田転換畑で栽培されているダイズの苗立枯れを着目し、「タケ細粉とクズ茎葉のミミズ糞」とPythium oligandrumの混合施用による相乗効果を調べた。ミミズ糞を25% (v/v)の比率になるように市販育苗培土に混合し、P. oligandrumの培養物を1% (v/v)になるように添加した。これらを用いてダイズを育成し、植物の苗立枯病菌を接種して発病抑制効果を評価した。比較として標準的な殺菌剤を供試した。その結果、ダイズ苗立枯病に対してP. oligandrumの添加による発病抑制効果の向上が確認された。育苗土中でのP. oligandrumの菌密度を調べたところ、「タケ細粉とクズ茎葉のミミズ糞」が一定割合で培土に存在する場合に有意な菌密度の増加が見られた。これらの結果から、「タケ細粉とクズ茎葉のミミズ糞」は植物病原糸状菌を抑制するが、生物防除微生物のP. oligandrumに対してはその活性を促進することがわかった。 「タケ細粉とクズ茎葉のミミズ糞」の発病抑制のメカニズムを明らかにするため、次世代シーケンサーで「タケ細粉とクズ茎葉のミミズ糞」の細菌叢を網羅的に調べた。その結果、VBに、Flavobacterium属菌が存在し、Bacillus属菌も高い割合で存在することが判明した。そこで、ミミズ糞由来のF. akiainvivens、B. amyloliquefaciens、B. pumilusおよびB. thuringiensisの計4種について、それらの抗植物病原糸状菌活性と発病抑制活性を検定した。その結果、いずれの細菌株も顕著な抗菌活性と発病抑制力を示した。以上の結果から、F. akiainvivens とBacillus属菌3種による拮抗作用が「タケ細粉とクズ茎葉のミミズ糞」の発病抑制の要因になっていることが示された。
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