研究課題/領域番号 |
19J10268
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
伴野 太郎 筑波大学, 人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | デュシェンヌ型筋ジストロフィー / マイクロジストロフィン / 遺伝子治療 / 免疫プロテアソーム / ゲノム編集 |
研究実績の概要 |
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、ジストロフィン遺伝子に変異・欠失が起こり生じる遺伝性疾患である。治療法として正常なジストロフィン遺伝子を外部から投与する遺伝子治療が研究されている。ジストロフィン遺伝子を運搬する役目としてアデノ随伴ウイルスベクター(rAAV)が用いられる。安全性が高いrAAVは、遺伝子治療によく用いられるが、搭載できる遺伝子の大きさが限られており、ジストロフィン遺伝子は巨大なため全長を搭載できない。そのため、ジストロフィン遺伝子を短くしたマイクロジストロフィン(uDys)としてrAAVに搭載し、患者に投与する。しかしこれまで、uDysは細胞内の立体構造をあまり考慮せずに設計されていたため、細胞内での活性が不十分であった。そのため今回、細胞内立体構造を考慮した新規uDysを設計し、それを搭載したrAAV-uDysを作製した。そして、そのrAAV-uDysを、in vitro で筋細胞にtransductionし、発現を確認するまでに至った。 DMDの遺伝子治療でさらに課題となっているのは、uDysタンパク質に対する免疫応答である。この免疫反応には免疫プロテアソームが関わっていると考えられる。そのため、免疫プロテアソーム遺伝子の発現をゲノム編集技術で抑制することを考えた。まず、免疫プロテアソーム遺伝子(3種類)に対するガイドRNAを設計し、それを搭載したrAAVを作製した(rAAV-gRNA)。さらに、dSaCas9を搭載したrAAVも作製した(rAAV-dSaCas9)。これらのrAAVをin vitro でtransductionし、発現・転写されることを確認するまでに至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年次計画では、uDysの設計・合成、免疫プロテアソーム遺伝子に対するgRNAの設計、uDys・gRNA・dSaCas9のAAVベクタープラスミドへのクローニング、各種AAVベクターの作製・精製・品質評価、各種AAVベクターを筋細胞にトランスダクションして発現・機能解析を行うことを予定していた。「研究実績の概要」に示した通り、rAAV-uDys、rAAV-gRNA、rAAV-dSaCas9を作製・精製し、SDS-PAGEで純度を確認し、qPCRで力価を測定した。そして、その力価をもとに筋細胞にトランスダクションして発現・転写の確認をするまでに至ったため、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
rAAVのin vitro での挙動は確認できたため、今後の研究では、in vivo での機能を確かめたい。
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