研究課題
母銀河と超巨大ブラックホール (SMBH) の共進化の全貌解明を最終目的として、共進化の中でも最重要段階である塵を吹き飛ばす段階に着目し、 AGN 活動と母銀河の星形成活動の関係を明らかにしようとした。本研究ではすばる望遠鏡の可視光線超広視野主焦点カメラ (HSC) と中間赤外線探査衛星 WISE を用いて塵に覆われた銀河 (DOGs) の大規模サンプルを作成し、塵を吹き飛ばしつつある天体の抽出を行い、選出された天体のフォローアップ観測を通して、その状況を理解しようとした。具体的には、可視光線の分光フォローアップ観測によって広輝線を取得す流ことで、ブラックホール周りの物理状態についての研究を行った。2019年2-3月に分光フォローアップの1つ目として南ヨーロッパ天文台の VLT において 3 天体の分光観測が行われた、また、2019年10月にはすばる望遠鏡で 1 天体の分光観測が行われた。どちらも、天体のスペクトルは十分取得できており、 SN も良い。このデータについて解析を行った結果、エディントン比がほぼ 1 あるいは 1 を大きく上回るような天体ばかりであった。これは、事前に予想していた、塵の吹き飛ばし段階にいるだろうという予想と合致する結果であった。この結果について現在論文としてまとめている。また、この結果について国際研究会や国内研究会といった場で発表も行い論文作成のための議論も行なってきている。一方で、 HSC のサーベー範囲の大きさでの制約を除け、より広範囲の探査を行うために SDSS を用いたサンプル構築も行なっている。こちらでも DOGs 天体の選出はできており、その中に塵を吹き飛ばしつつある天体も見つけられている。
2: おおむね順調に進展している
採用第1年度目では、本研究で研究対象としている塵に覆われた銀河について、欧州南天天文台 VLT で取得した可視光スペクトルのデータ解析が進めることができた。中心核の放射が速度幅の広い輝線として見られる等、科学的に極めて興味深く新規性が高い結果が得られている。この結果を当該研究分野のコミュニティに周知するための研究発表や、広く国内外の共同研究者との議論も進み、査読論文への投稿の準備も進められている。
現在作成中の論文を完成させる。一方で、母銀河における影響調査のために近赤外線分光観測や電波 (ALMA) を用いた観測が必要になるため、観測提案の提出を行う。また、可視光で広く観測されている SDSS データを用いた DOGs 探査も行い、より多くのサンプル構築を目指す。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件)
The Astrophysical Journal
巻: 876 ページ: 132~132
10.3847/1538-4357/ab1754