本年度はミンコフスキー空間形内の空間的双等温曲面の変換理論の理解を目標とした. この目標に関して得られた主な成果は以下の通りである. 1. ミンコフスキー空間形内の空間的双等温曲面は「リー球面幾何」を用いてユークリッド空間形内の双等温曲面と一緒に扱うことが出来ることが知られている. 一方、リー球面幾何は双等温曲面を含むもっと一般的な曲面のクラスである「オメガ曲面」の考察に相応しい幾何であることも知られている. Burstall氏、Hertrich-Jeromin氏、 Pember氏、 Rossman氏と協力し、リー球面幾何を使って離散オメガ曲面の定義を変換理論と可換律を用いて行った. 2. 曲面の変換理論と同様に曲線にも変換理論が存在する事が知られていて、曲線の変換理論と可換律は半離散曲面と密接な関係がある. 従って、「半離散双等温曲面」の生成するポララーゼーション付き曲線の「ダルブー変換」に着目し、Rossman氏、瀬野智也氏と協力してポララーゼーション付きの離散平面曲線の滑らかな「ダルブー変形」を新たに定義した. この定義によってダルブー変形と「半離散変形KdV方程式」や「離散変形KdV方程式」との関係を明らかにした.
|