研究課題/領域番号 |
19J10790
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
李 波 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | 壊死性腸炎 / 組換えヒト可溶性トロンボモジュリン(rTM) / ラットモデル |
研究実績の概要 |
新生児ラットモデルを用いて、壊死性腸炎に対して組換えヒト可溶性トロンボモジュリンは効果があることがわかりました。研究結果はSurgery Todayに掲載されました。 目的:壊死性腸炎(NEC)は早産児の主な死亡原因である。組換えヒト可溶性トロンボモジュリン(rTM)は、抗炎症効果ならびに抗血栓形成効果を有することが報告されている。本研究の目的は、実験的NECモデルに対するrTMの効果を評価することである。 方法: Sprague-Dawley新生仔ラットを出生直後にランダムに3群(NEC、NEC + rTM、対照)に分けた。 NECは、高浸透圧の経管強制栄養、lipopolysaccharideの胃内投与(1日目および2日目に2回)、および低酸素ストレス(1日3回、10分)によって誘発された。対照には母乳が自由に与えられた。 NEC + rTM群では、rTMを皮下に2回(1日目および2日目にそれぞれ1回)投与した。96時間以上生存した全ての動物、並びに瀕死状態の動物は安楽死させた。回腸を組織学的評価およびmRNAとタンパク質発現の測定のために採取した。 結果:NEC + rTM群の生存率は、NEC群(NEC + rTM:64%、NEC:23.5%、p=0.0005)より有意に高かった。 NEC + rTMグループのNECスコアは、NECグループよりも有意に低かった(NEC + rTM:1.6±0.8、NEC:2.5±1.2、p=0.0025)。 TNF-α、IL-6およびHMGB1の組織レベルはNEC群で有意に上昇しましたが、NEC + rTM群では対照群と同じレベルに低下した。 結論:今回の研究結果より、rTMがNECの重篤度および発症率を低下させることが明らかとなった。rTMはNEC治療の一つの選択肢となる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新生児ラットモデルを用いて、壊死性腸炎に対して組換えヒト可溶性トロンボモジュリンは効果があることがわかりました。研究結果はSurgery Todayに掲載されました。現在、腸管免疫に関する研究も行っています。
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今後の研究の推進方策 |
1,Determine whether the identified taxon regulates immunity in newborn mice. 2,Elucidate whether that taxon can mitigate pathologic conditions induced by NEC-like injury.
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