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2019 年度 実績報告書

戦災復興計画における活性化に関する研究ー広島とベイルートの比較

研究課題

研究課題/領域番号 19J10853
研究機関筑波大学

研究代表者

ALKAZEI ALLAM  筑波大学, システム情報工学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2019-04-25 – 2021-03-31
キーワード戦災復興 / 活性化 / ネオリベラリズム
研究実績の概要

戦災復興計画における活性化を考察するため、復興対象であった二つの事例:賑わいがある広島本通り商店街と衰退が進行しているベイルート・ダウンタウンを対象にした。
まずベイルートの事例を見ると、紛争による破壊された首都の中心部を中東のファイナンシャルハブを作る復興プロジェクトが実施された。プロジェクトの方針はアラブ半島の観光客や投資家に対して魅力があるダウンタウンを復興するため、ハイエンド空間と建築の高スタンダードを適用された。しかし、2011年からアラブ半島の外来者数が激減した。対象エリアの商業空間の分析により、休業の店が多く、その中バー・レストラン・カフェの休業率が特に高かった。そして、観察調査により、警備員や検問の存在で長期アクセス制限があり、対象エリアの歩行者数が減り、休業する店が増えると共に、対象エリア全体の衰退がより早く進行している。衰退状況とベイルートの復興におけるネオリベラリズムが関連していると考えられる。ベイルート、パリに赴き、復興に関する専門家にヒアリング調査を実施し、ネオリベラリズムに関連する政策を考察した。
広島の事例も、ベイルートと同様に、広島中心部にある広島本通り商店街を対象とした。広島本通り商店街は原爆前の商業空間の機能が復旧した。復興計画の区画整理事業の進行と同時に、原爆で失った本通り商店街の賑わいを復活における商業従事者が貢献したと考えられる。例えば、復興計画を作成するため設置された復興局の会議にて商店街組合長が復興計画に関する発言をし、他の商業従事者を集める「草分け会」を設けた。復興における原爆前の商業従事者の役割を把握するため、資料調査・現地調査を通し、原爆前の店舗から現在まで追跡した。資料に記載された店舗記録(名前、位置、種類)としては、原爆前から2013年までの5つと2018年の現地調査による1つを参考にし、商店街の店舗の継続性を把握した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2019年10月にレバノンの経済危機に対するデモの影響で調査の日程を2020年初めに行った。フランスの現地調査に合わせて2020年1月下旬~2月中旬にかけてベイルート、パリ、ルアーブルを訪問した。

今後の研究の推進方策

ベイルートの事例に関して、ネオリベラリズムの賑わいへの影響に注目し、ベイルート・ダウンタウンの復興で実行された政策・手法と公共空間・商業空間の衰退の関係性を明らかにする。特に2019年10月以降政治的な不安定と経済悪化のため衰退が早く進行したBeirut Souks、Foch Allenby、Place de l'Etoileの三つのエリアが対象になる。そして、ベイルートとパリでの現地調査で得たヒアリングデータ(復興に関わった専門家及びキー・パーソン)、歴史的資料(復興事業・計画に関する新聞記事など)、都市計画資料(計画図と報告書)を分析し、1976年のAtelier parisien d'urbanismeプランから、1994年以降のSolidereプランにかけて作成されたいくつかの復興マスタープランを分析し、復興計画の変遷、事業方針・用途、対象エリアから見たネオリベラリズムの導入過程を把握する。
広島の事例に関して、今年度は広島本通り商店街の賑わいの復旧過程と商業従事者の役割を明らかにするため、現地調査を用いて研究を進める予定である。広島中心部にある広島本通り商店街の復興・賑わいの過程を把握するため、ベイルートのケースと同様に、現地調査と資料調査を実施する。資料を収集するに当たり、広島へ赴き、広島公文書館、中央図書館、広島平和記念公園資料館にて復興計画の図面・報告書と発展過程に関する資料を収集する。そして、復興過程を把握すると共に広島本通り商店街の商業従事者に注目し、より早く商店街の再生に貢献した商業従事者の役割を把握する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] A Study on the Relation Between Street Vitality and Reconstruction Planning in a War-damaged Central Area: The Case of Central Beirut2019

    • 著者名/発表者名
      Allam Alkazei
    • 学会等名
      10th International Policy Forum on Conservation and Urban Growth
    • 国際学会
  • [学会発表] The Impact of Reconstruction Planning on Urban vitality: The Case of Downtown Beirut after the Lebanese Civil War2019

    • 著者名/発表者名
      Allam Alkazei
    • 学会等名
      2019年度日本建築学会大会(北陸)学術講演会
  • [学会発表] Spatial Transformation Under Postwar Reconstruction Planning and its Impact on Urban Vitality: A comparison between Beirut and Hiroshima2019

    • 著者名/発表者名
      Allam Alkazei
    • 学会等名
      2019年度 中東☆イスラーム研究セミナー(第20回)

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公開日: 2021-01-27  

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