研究課題/領域番号 |
19J10858
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
浅野 早知 岐阜大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | 細胞膜ドメイン / スフィンゴ糖脂質 / グロボ系列 / 脂質ラフト / 光親和性プローブ / 光アフィニティラベル化 / 糖鎖 |
研究実績の概要 |
一年目は、以下の研究項目を実施した。 1. スフィンゴ糖脂質骨格の合成 当初の計画におけるコンセプトの有用性を示すため、相互作用する細胞膜タンパク質が知られているスフィンゴ糖脂質GM3をモデル分子として用いて評価を行なったのちに、グロボ系列スフィンゴ糖脂質を用いた光架橋実験を実施する計画とした。GM3骨格、三種類のグロボ系列スフィンゴ糖脂質骨格いずれも十分量の合成を完了した。 2. 光反応基ユニットの合成と評価 当初の計画では、従来型の光反応基よりも疎水性が低く選択性の高いコンパクトな反応基であることが報告されている「2-チエニル置換型ケトアミド」を採用する予定であったが、糖鎖-タンパク質複合体の質量解析の簡便化を志向し、「セレノフェン-2-イル置換型」の光反応基を新たに開発した。合成経路の検討を行い、末端にビオチンや種々のタグをクリック反応により導入するためのアルキンを導入した光反応基ユニットの合成を完了した。ケトアミド構造のケト基の求電子性を確認するため、1H NMRによる水和体の形成を調査したところ、望まない水和体のシグナルは確認されなかった。このことから、チエニル型と同様、光励起されない条件下における光反応基ユニットの高い安定性を示唆した。また、新規光反応基の光化学的特性を評価するため、コンカナバリンAのリガンドであるα-マンノースに光反応基を導入したプローブの合成を行い、チエニル型と同様の水中安定性を示した。更に、合成した光反応基ユニットの反応性・選択性を調べるためのin vitroでの評価用プローブの合成も完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光反応性置換基を導入するためのスフィンゴ糖脂質骨格の合成においては、新たなシアル酸グリコシド化法及び溶解性向上保護基を利用して効率的に合成を行うことができた。新たな光反応基の開発にも着手することができ、二年度目においてスフィンゴ糖脂質親和性細胞膜タンパク質の光捕捉実験を計画通りに行うことができると期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
合成した新規光反応基の光安定性、マンノースプローブを用いたコンカナバリンAレクチンとの親和性及びラベル化効率を評価することにより、新規光反応基の特性を調査する。光反応基ユニットをスフィンゴ糖脂質骨格へ導入してプローブへと導き、細胞膜上での光架橋実験、アフィニティ精製、プロテオミクス解析を行い、親和性タンパク質の同定を進める。
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