研究課題/領域番号 |
19J10927
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
末森 晴賀 北海道大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | クレタ / イズミル / クレタ戦争 / オスマン朝 / ヴェネツィア / ヨーロッパ / 地中海 |
研究実績の概要 |
今年度はトルコのイズミルにあるエーゲ大学に滞在して研究に取り組んだ。滞在中、専門分野の先生方と頻繁に交流し、研究に関する多くの助言を得た。現地の先生方の視点や持っている情報はそれまでの自分にはないものであり、研究対象についての視野を広げることができた。 現地でのみ入手可能な史資料の調査・収集も積極的に行い、滞在地のイズミルやイスタンブルの図書館や文書館で未刊行史料を、書店で刊行史料を多数収集した。また、クレタのイラクリオンにある図書館でも史料調査を行い、今なお残るオスマン時代の台帳百数十冊を調べて必要な個所の複写データを持ち帰ることができた。トルコ語の研究書やオスマン語の史料の他に、クレタではギリシア語の研究書や史料も収集できたので、これらの史資料を用いることでより多角的な分析が可能となる。 また、滞在地のイズミルをはじめとする東地中海周辺で現地調査も積極的に行い、地理的特徴や町の構造の把握に努めた。調査先は、クレタ戦争の舞台になったクレタの主要都市であるイラクリオン、レティムノ、ハニヤ、戦争中にクレタとは別にヴェネツィアとの抗争の舞台になったチャナッカレ周辺地域、戦争後にオスマン朝の統治政策の対象になったレスボス、その他のエーゲ海沿岸に位置する数々の港町である。現地調査を通して、研究対象とする時代の東地中海の全体像を把握することができた。 現在はこれらの研究成果を論文にまとめているところであり、来年度中に投稿予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東地中海の重要な島であるロードスやキプロスで現地調査ができなかったことを除いて、交付申請書に記載した計画通りに勧めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本年度の研究成果をまとめて論文を2本執筆し、雑誌に投稿する。その際に和書や英語・仏語で書かれた洋書を中心に必要な研究書を入手して読む。 時期的に可能であれば、イズミルおよび本年度に行くことができなかったロードスやキプロスで現地調査を行い知識を深めることを目指す。
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