研究課題
がん幹細胞に抗腫瘍効果を示すNSAIDsの探索: シスプラチンの殺細胞効果に影響を及ぼすNSAIDsが、がん細胞の種類によって効果が異なるかを明らかとするため、ヒト肺がん細胞株であるA549とSBC-3間における細胞生存率を比較した。その結果、検討に用いた17種類のNSAIDsにおいて、シスプラチン耐性前後ともに強い相関性が認められ、NSAIDsががん細胞に及ぼす効果はがん細胞の種類に依存しないことを見出した。NSAIDsによるシスプラチンの治療効果向上: これまでの検討により、シスプラチン起因性腎障害 (CIN) を増悪させずシスプラチンの抗腫瘍効果を高めるNSAIDsとしてジクロフェナクを、CINを軽減させつつがん幹細胞においてシスプラチンの抗腫瘍効果を高めるNSAIDsとしてセレコキシブを見出した。これらNSAIDsがシスプラチンの抗腫瘍効果と副作用に及ぼす影響を同時に検証するため、ヒト肺がん細胞株をヌードマウスに移植したXenograftモデルを構築し、抗腫瘍効果を評価した。シスプラチン単独投与では十分な抗腫瘍効果が認められなかった一方で、ジクロフェナク併用投与はシスプラチンの抗腫瘍効果を高めることが明らかとなった。また、セレコキシブ併用投与は軽微にシスプラチンの抗腫瘍効果を減弱させる傾向を示した。さらに、腎障害マーカーの1つであるKidney injury molecule 1 (Kim-1) を評価したところ、シスプラチン投与により発現が上昇したKim-1に対し、ジクロフェナクとセレコキシブは影響を及ぼさず、これらNSAIDsはCINを増強させないことが明らかとなった。以上の結果より、ジクロフェナクはシスプラチンの副作用であるCINを増強させずにシスプラチンの抗腫瘍効果を高めるNSAIDsであることを見出した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Toxicology in Vitro
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10.1016/j.tiv.2021.105155
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