研究課題/領域番号 |
19J11122
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
Al Farisi Muhammad 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | マイクロシステム / 熱アクチュエータ / アルミニウム / めっき / 材料特性 |
研究実績の概要 |
マイクロシステムでは、マイクロセンサー、制御回路、通信インタフェースの他、マイクロアクチュエータも重要である。微小電気機械システム(MEMS)を実用化するためには、小さな面積を占有しながら低消費電力で大きな撓みと発生力を提供できるマイクロアクチュエータが必要とされる。他の駆動方と比べ、熱アクチュエータは大きな発生力や発生距離を低電圧・電流で実現できる。しかし、熱アクチュエータを駆動するためには大量のエネルギーが必要とされ、消費電力が大きである。本研究では低消費電力をめざした熱アクチュエータを提案する。
アルミニウムは本来の熱アクチュエータとして使用される多結晶あるいは単結晶シリコンより10倍膨張率を持つ。同様な温度変化が加われた際にアルミニウムは10倍程度膨張し、低消費電力でも大きな発生力で駆動できる。金属薄膜をマイクロ熱アクチュエータとして応用するためには、主にめっき技術で成膜される。本研究では、大きな発生力を有するめっきアルミニウムを用いてマイクロ熱アクチュエータを目的にする。しかし、めっきアルミニウムをマイクロ熱アクチュエータとして応用するためには様々な材料特性の理解が必要である。
本年度では、めっきアルミニウム膜の機械、電気及び熱特性を評価した。成膜条件及び微細構造の依存性も明確にした。これらの結果は、マイクロ熱アクチュエータに限らず、将来のめっきアルミニウムの様々なマイクロシステム応用への設計ガイドとして役に立つ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度では、アルミニウムめっき技術を開発し、成膜しためっきアルミニウム膜の機械、電気及び熱特性を評価した。成膜条件及び微細構造の依存性も明確にした。これらの結果は、マイクロ熱アクチュエータに限らず、将来のめっきアルミニウムの様々なマイクロシステム応用への設計ガイドとして役に立つ。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の結果を踏まえ、めっきアルミニウムをマイクロ熱アクチュエータとして応用する前に1つ課題がある。成膜したアルミニウムは数μmの高い表面粗さ及び厚み分布を持つ。イオン液体であるめっき液に添加物を加えると表面粗さ及び厚み分布を減らせる可能性がある。しかし、添加物がめっき液に加わると、材料特性に影響する可能性がある。
翌年度は、表面粗さや厚さの分布を減らすために添加物をめっき液に加え、成膜実験を行う。また、添加物により、材料特性への影響を明確にする。最後にめっきしたアルミニウムを用いてマイクロ熱アクチュエータを作製する。
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