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2019 年度 実績報告書

宿主免疫による黄色ブドウ球菌の増殖抑制を促す乳房炎ワクチン用新規抗原の探索

研究課題

研究課題/領域番号 19J11689
研究機関東北大学

研究代表者

古川 睦実  東北大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2019-04-25 – 2021-03-31
キーワード黄色ブドウ球菌 / 乳房炎 / 宿主抗体
研究実績の概要

ウシ乳房炎は黄色ブドウ球菌などの病原微生物が引き起こす感染症であり、酪農現場に甚大な被害をもたらす。治療のための抗生物質の使用は乳汁の出荷停止や薬剤耐性菌の出現の原因となるため、薬剤に頼らない疾病防除が重要であり、特にワクチンの質の向上が必須である。本研究の目的はウシIgG抗体による黄色ブドウ球菌の増殖抑制に関与する抗原を同定し、ウシ乳房炎のワクチン抗原へと応用することであった。
先行研究では、黄色ブドウ球菌特異的ウシIgG抗体(抗SA抗体)との共培養により、黄色ブドウ球菌のCFU数が有意に減少するという結果を得ていた。そこで本研究課題の初年度である今年度は、標的抗原を同定するために、黄色ブドウ球菌トランスポゾンミュータントライブラリーを用いたスクリーニング系を立ち上げる研究(スクリーニングにおける十分量の抗体の精製、トランスポゾンミュータントライブラリーの複製、スクリーニングの条件検討)を行った。
黄色ブドウ球菌を免疫したウシの血清から、ProteinGを用いてIgG抗体を精製し、約2500㎎の抗SA抗体を精製することができた。次に、スクリーニングの条件検討を行った。黄色ブドウ球菌の菌体からATPを抽出し、ルシフェリンの存在下でルシフェラーゼを反応させ、発光量を測定することで、菌を定量した。黄色ブドウ球菌の培養液中に抗SA抗体を添加しても、培養液中のATP量には変化はなかった。よってATP量によるスクリーニングは適切ではないという結果が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度の研究により、黄色ブドウ球菌特異的ウシIgG抗体による菌の増殖抑制に関与する分子を特定するための準備が整った。ATP測定をスクリーニングとして適用することは難しいという結果だったが、今後研究を進めていく上で十分な量の抗SA抗体を精製すること、および黄色ブドウ球菌トランスポゾンミュータントライブラリーの複製が完了した。

今後の研究の推進方策

先行研究と今年度の研究により、黄色ブドウ球菌に対する抗SA抗体の影響として、平板培養のCFU数は減るが、液体培養によるATP量には変化がない結果が得られている。よって抗SA抗体は黄色ブドウ球菌をコロニー形成できない状態であるVBNC(viable but non-culturable)状態にする可能性、また、分裂に影響を及ぼす可能性等が考えられた。今後はトランスポゾンミュータントライブラリーの中からコロニー形成不全の変異株を選抜し、その中で野生株とATP量に差がないものを選抜していく。さらに、選抜された変異株と抗SA抗体の反応性を調べ、抗SA抗体が影響する分子を特定する。

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公開日: 2021-01-27  

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