本研究は受熱したコンクリートにおける水和物から圧縮強度を推定する方法を確立する方法を確立することを目的としている。本年度の予定ではX線トモグラフィーの測定と中性子ラジオグラフィ―の測定を主に検討していたが、現在中性子トモグラフィーの測定を終えている状態である。またメゾスケールとマイクロスケールの損傷を明らかにすることを目的としていた。 そこで、本研究では同一試験体を用いることによって測定した中性子トモグラフィーとX線トモグラフィーを行うことによって、本研究では、中性子の水素に対する減衰特性を生かしX線とは異なる視点から再養生を施した鉄筋コンクリート内部の性状を可視化することを目的の1つとし、火害を受けた鉄筋コンクリートと加熱後再養生を施した鉄筋コンクリートに生じている現象をメゾスケールの視点から観察した。 また、モデル骨材を使用した加熱前と加熱後におけるモルタル試験体のX線トモグラフィーを撮影した。 撮影した3Dモデルの差分解析を行うことで骨材とセメントマトリックス界面に生じる損傷を観測できることが期待される。さらに、本実験で使用した試験体材料の各熱分析を測定することで、材料の熱物性を取得した。今後取得した熱物性を用いた数値解析モデルと実験によって得られた損傷モデルの比較を行い、高温加熱を受けたコンクリートの劣化をモデル化する。 その後、7月以降に外部機関と所属大学におけるオンラインミーティングを行うための環境が整備されたため、打ち合わせを行うことができた。また、8月中旬に自宅での解析作業を行う環境を整備し、11月に一回目のX線トモグラフィー測定を行うことができた。当初7月に測定する予定であった測定が新型コロナウイルスの影響により、4か月の遅れが生じた。
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