研究課題/領域番号 |
19J11906
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
王 紫儀 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | Melatonin / Sclerostin / Ciradian rhythm / Osteocytes |
研究実績の概要 |
本研究課題では、歯根膜細胞と骨細胞とのクロストークにおける、細胞内カルシウム応答と概日リズムによる骨代謝制御機構を解明することを目的とする。本研究により、歯根膜細胞および骨細胞に対して、その相互関係および細胞内エクソソーム中のenolase2発現、メカニカルストレスに対する時計遺伝子やカルシウムイオンの変化を検討する。これにより、Eno2遺伝子発現の変化は歯根膜細胞及び骨細胞のクロストークにおいてAMPK/mTOR経路と細胞間情報伝達の調節を行う因子となること、また時計遺伝子を変化させ、カルシウムイオンを変動させる要因となるという分子生物学的仮説を明らかにすることが可能である。 昨年の結果から次のことがいえます。1.歯周靭帯(PDL)細胞は骨細胞に影響を与える因子を放出する可能性がある。 2. MLO-Y4骨細胞におけるPer3ノックダウンは、SostのmRNA発現を増加させる。 3.メラトニン処理は、Per3のmRNA発現を増加させ、MLO-Y4骨細胞のSostのmRNA発現を減少させる。 4.ヒトPDLを6時間圧縮すると、ヒトPDL(hPDL)細胞におけるメラトニン産生に関連する遺伝子であるヒトAANAT(hAANAT)の発現が増加する。 5. hPDL細胞への圧縮力は、hPDL細胞、Per3、および共培養MLO-Y4骨細胞のSostにおけるhAANATのリズミカルな発現パターンに影響を与える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
私は、当教室にて矯正的歯の移動とその周りの骨で生じる骨モデリングの研究をおこなっています。これまで、概日リズムと矯正的歯の移動について報告したものはありませんが、彼は綿密な研究に基づき、歯根周囲に存在する線維性細胞である歯根膜細胞が、矯正力により睡眠導入ホルモンであるメラトニンを産生し、概日リズムを司るPer3遺伝子の発現を促進し、歯槽骨におけるスクレロスチンの概日リズムを調整しているという新たな所見を見いだしました。この所見は、メカニカルストレスへの応答に概日リズムの影響が関与しているという新しい概念を想起させるものであり、今後の研究の成果が期待されます。また、私は、生物学的研究において、早くから独自のソフトウェア開発を行い自分の研究の解析にも取り入れています。また、私は、昨年、アメリカのインディアナ大学Dr. Bonewaldの教室でバイオインフォマティクスを学ぶため6か月間留学してきました。期待以上の研究成果があったと判断します。
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今後の研究の推進方策 |
本年は論文の提出を終了し、Per3がどのようにSostの発現を調節するか、およびエノラーゼ2がそれに関与しているかどうかについてさらに実験を行います。さらに、Per3、Sost、Enolase2などの興味深い遺伝子のmRNA発現レベルは、歯の歯槽骨の初期段階(矯正力の適用後24時間)で、蛍光in situハイブリダイゼーションを使用して検出します。以前、機械的刺激と細胞内カルシウム評価の間にPer3の共発現を見いだしたため(未発表データ)、申請者は機械的刺激によって調節されるPer3の発現における細胞内カルシウム振動の役割も実験していきます。
最後に、申請者は、有用なディスカッションとアドバイスを収集するために、いくつかの国際会議で発表し、また、未発表の調査結果を共有したいと考えています
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備考 |
The above software packages were already published on peer-reviewed articles [Ei Hsu Hlaing, Ei, et al. The FASEB Journal 33.9 (2019): 10409-10424; Fu, Shanqi, et al. Journal of Endocrinology (2019)].
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