研究課題
我々は、Gタンパク質共役受容体キナーゼ5(GRK5)がNF-κB経路による異化反応を介した軟骨の変性を制御すること、よってGRK5はOA治療の標的となり得ることを明らかにし、Arthritis and Rheumatology誌(PMID: 31696655)に2019年10月に論文アクセプトされた。研究成果の概略を記す。In vitroにおいて、Amlexanoxはヒト軟骨細胞の細胞増殖に負の影響を与えず、IL6をはじめとする異化因子の発現を減衰させ、NF-κB転写活性を抑制した。ヒト軟骨細胞にGRK5を過剰発現させると、異化因子の発現が有意に増加し、これらはAmlexanox投与により抑制された。同様に過剰発現により亢進したNF-κBの転写活性はAmlexanox投与により抑制された。In vivoにおいては、胎生期及び出生直後マウスの四肢組織切片や全身透明骨格標本を用い、野生型マウスと比しGRK5 KOマウスで骨格の成長に異常がないことを確認した。変形性膝関節症(OA)モデルマウス膝関節へAmlexanoxを投与したところ、コントロール群よりも軟骨変性スコアが有意に低く、IL6およびMMP13を発現する軟骨細胞数は有意に減少した。実用化に向けての実験では、Amlexanoxとある溶媒Aを同時にヒト軟骨細胞に作用させるとそれぞれの単体よりも有意に異化因子が抑制でき、また日本白色家兎に対してOAモデルを作成しAmlexanoxを関節内投与したところOA進行を抑制できた。本研究の目標は、Amlexanoxを原薬としたOA疾患修飾治療薬を開発することである。進捗として、AMEDシーズAにおいてAmlexanoxを関節内投与する際の濃度と溶媒の最適化を行い、剤形候補を決定するまでには至っている。現在は相乗効果を示す溶媒との組み合わせに関する追加特許の出願準備中である。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Arthritis and Rheumatology
巻: Vol. 72, No. 4 ページ: 620-631
10.1002/art.41152