研究課題
嫌気性処理は、曝気のエネルギーを必要とせず、余剰汚泥発生量を削減し、バイオガスの回収もでき、省エネ・創エネ的技術として期待されている。膜分離技術は、排水を微生物により処理し、その後膜ろ過を行う手法である。近年、嫌気性処理と膜分離技術を組み合わせて、省スペース省エネの嫌気性膜分離リアクター(Anaerobic Membrane Bioreactor:AnMBR)の開発が注目されている。嫌気性膜分離法が下水処理に応用できれば、処理コストが大幅に削減し、エネルギーが回収することも可能になって、環境負荷低減や持続可能な社会の構築に貢献が寄与すると期待される。初年度の研究計画と完成度は:1) 研究・実験:AnMBR反応槽の設計、試作、実下水に運転する(完成);HRTやガスのリサイクルなどの条件を制御し、反応槽の運転に必要な内部環境を整備する(完成);処理水のCOD濃度とメタンガス生成量及び膜ろ過フラックスにより、運転方法を検討する(完成);また、運転温度により、処理効果の影響を検討する(完成)。2) 次年度実験の準備・成果発表:研究室にアナモックス細菌の培養と反応槽の設計(完成);成果の一部は学会発表して、本研究に関する情報収集を行う(完成、予定の通り国際会議のIWA・AD16にてAnMBRの長期運転の処理水質効果、バイオガス生成量及び運転条件に関する内容を発表した。);更に、研究成果を整理して、学術雑誌に投稿する(完成の分/連名発表論文二篇:実下水処理のAnMBR性能評価及びHRTの影響が土木学会論文集に発表できた;AnMBRが下水処理において制御方法とパフォーマンスがBiotechnology & Businessに発表できた。進行中の分/第一著者SCI論文:「膜孔径の影響」に関する論文がunder review状態で、二篇目が投稿準備中である。)。
2: おおむね順調に進展している
初年度研究計画の1) 、研究・実験の部分は全部完成した。詳しくは実下水によるAnMBRを運転ができ、反応槽の運転に対する制御条件と内部環境の整備が完成し、処理効果とバイオガス生成量及び膜ろ過フラックスに関する内容が明らかになった。初年度研究計画の2) 、次年度実験の準備・成果発表の部分はほとんど完成した。詳しくは研究室にアナモックス細菌の培養とアナモックス反応槽の設計、試作ができた;成果の一部は国際会議のIWA・AD16にて「Performance of a mini pilot plant of AnMBR treating real municipal sewage」を題目として、長期運転の処理水質効果、バイオガス生成量及びHRTやガスのリサイクル量などの運転条件に関する内容を発表した。また、本研究に関連している他の研究に関する情報収集と意見交換を行った;日本国内の学会(水環境学会・土木学会)でも数回、連名として発表した。研究成果を整理して、学術雑誌に発表論文二篇:「嫌気性MBRを用いた実下水処理の性能評価及びHRTの影響」(土木学会論文集、第二著者)、「An aerobic membrane bioreactor:research and application」(Biotechnology & Business、第二著者)。今のところでは、第一著者としての「嫌気性膜分離法において膜孔径より下水処理の影響」に関するSCI論文がunder review状態で、二篇目が投稿準備中である。この部分には頑張る必要があると考えている。以上の理由より、現在までの進捗状況には「おおむね順調に進んでいる」の項目内容を選択した。
提出した次年度の研究計画より修正して新たな推進方策には:1) 研究・実験:アナモックス反応槽の試作が完成したので、これから研究室で培養できたアナモックス細菌を利用し、AnMBR実験装置と組合せて下水処理システムを構成して、その新たなシステムの連続運転を達成させることを目指す。低濃度排水に対する実験室で運転したアナモックス反応槽により、窒素除去は可能ですが、プロセスの安定運転と高い窒素除去率を得られることがチャレンジである。更に、AnMBRの処理水にアナモックス法よる処理効果と制御方法を明らかにすることが期待されている。次、AnMBRに水質浄化効果、バイオガス回収など結果より、プロセスの制御条件とシステムの最適化をさらに検討する。その上、分析用コンピューターによりAnMBRの膜間圧力差データの連続収集結果をまとめて、実験装置システムについて総合的な評価を行う。そして、低温環境におけるAnMBRを用いた実下水の処理効果を検討することと効果改善の制御方法を探すことも今後の計画である。2) 成果発表:研究成果の一部は学会に発表して、さらに本課題に関わる情報の収集を行う。そして、全ての研究成果をまとめて、学術雑誌に投稿することと考えている。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
Water Research
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