研究実績の概要 |
初年度は、申請研究を進めるうえで必要となる長膜亜目スナギンチャク類を日本の各地点(鹿児島、奄美大島、熊野灘、相模湾、大分、宮崎、琉球列島)および東沙環礁(台湾)にてスキューバ潜水およびドレッジにて採集を行った。また、南アフリカおよびブラジルからの標本も海外の研究機関に提供してもらい、これらも解析に含めた。これら収集した標本について、各形態学的特徴を観察した。また、ミトコンドリア(12S, 16S, COI) および核(18S, 28S, ITS)の6領域に基づいて分子系統樹を構築することで、系統関係の推定を試みた。その結果として、ヤドリスナギンチャク科、センナリスナギンチャク科の未記載種を発見し、記載、系統関係、宿主転換に関する4報の論文を発表した。 micro-CTを用いた非破壊的な内部形態観察を琉球大学医学部にて行った。造影剤として、ルゴール液およびオスミウム用いて観察した。その結果、2つの造影剤は同等の結果を示した。オスミウムは有害性が高いことから、今後はルゴール溶液を用いて内部形態観察を継続する予定である。
|