研究実績の概要 |
脳海綿状血管奇形症例を対象とした遺伝子変異解析を行った。多発脳海綿状血管奇形症例5例について、血液検体を対象としたgermline mutation解析を行った(Illumina Genome Analyzer Iixを用いたwhole exome sequencing)。脳海綿状血管奇形においては、CCM1, CCM2, CCM3の3つの関連遺伝子が過去に報告されてきたが、今回、5例中3例(60%)において、CCM1, CCM2遺伝子に過去に報告のない遺伝子変異を同定した。いずれもタンパク質機能に対する影響が大きいnonsense変異またはframeshift変異であり、新規関連遺伝子変異候補と考えられた。続いて、CCM1, CCM2, CCM3以外の関連遺伝子を抽出した。CCM1, CCM2, CCM3のいずれにも病原性変異が認めれない例において、レアバリアントであること、産生されるタンパク構造に影響する非同義変異であること、CCM1, CCM2, CCM3に類似した機能を有すると予測される遺伝子であること、2例以上に重複して認められることを条件とした絞り込みを行った。結果、CCM1, CCM2, CCM3変異陰性の2例において変異が共通した遺伝子としてLFNG, USP42の2つが抽出された。 また、脳海綿状血管奇形を含む血管奇形症例において、血管奇形組織と血液を対象としたsomatic mutation解析を行った。結果、一部の血管奇形組織において新規の関連遺伝子変異候補を同定した。今後、血管内皮細胞株を用いた機能解析を行うことで同変異が血管内皮細胞機能に与える影響を解析する予定である。
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