研究課題
本研究は、プロイセン教育改革期の宗務・公教育局長官を務めたフンボルト(Wilhelm von Humboldt: 1767-1835)の陶冶理論に基づく教育課程と教育改革の構想と展開を明らかにし、これを通して、陶冶理論に基づく教授学体系の再構成を目指すものであった。成果としては、フンボルトの改革参与期(1809-1810)に現れた言語・歴史・数学・体育・芸術のカテゴリーに着目し、このカテゴリー構想は陶冶理論的にどのように基礎づけられていたのかを、フンボルトの前期思想形成期にまでさかのぼって解明した。これにともない、カリキュラム構成原理における学問の重要性が示唆された。学問が知識と行為の体系として自己―世界関係形成の要となること、教師の教授活動は学問への導入を通して、子どもの陶冶課程の触発へと働きかけることができることが明らかになり、陶冶理論と教授学の体系的関連性への視座を得ることができた。加えてフンボルトの教育改革の構想と展開を明らかにした。これは、フンボルトの教育課程構想が、改革過程の中で屈折・展開されていくことをフンボルト自身が強く望み原理として打ち立てていたこと、そうしたフンボルトの改革原理が同じく陶冶理論的に基礎づけられていたという特質に基づいて検討の射程に入った。結果としてドイツ国内の諸アーカイブの未刊行の原典史料を用いて、改革期の具体的な教育課程審議の過程を明らかにすることができた。研究成果を日本カリキュラム学会・日本教育学会等に掲載することができた。またドイツ・フレンスブルク大学でのセミナーで成果発表をし、ドイツの教授学研究・フンボルト研究の水準での議論を展開することができ、国際的なフンボルト研究への萌芽を形成することができた。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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中国四国教育学会編『教育学研究紀要』
巻: 66 ページ: -
日本教育学会編『教育学研究』
巻: 88 ページ: -
International Journal of Lesson and Learning Studies
巻: - ページ: -
広島大学大学院人間社会科学研究科紀要 教育学研究
巻: 1 ページ: 295-304
10.15027/50211
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