• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実績報告書

大規模流体計算における高効率な不確実性解析手法の開発と火星航空機空力設計への応用

研究課題

研究課題/領域番号 19J12469
研究機関東京大学

研究代表者

河合 成孝  東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2019-04-25 – 2021-03-31
キーワード不確定性定量化 / 数値流体力学 / 多項式カオス展開 / stochastic Galerkin法 / ギブス現象 / エッジ検出 / multi-element法
研究実績の概要

不連続的な応答を高効率的に捉えられる不確定性定量化手法を開発した.具体的には,multi-element多項式カオス展開に基づくstochastic Galerkin法にエッジ検出を取り入れた新しい手法を提案した.この背景には,不確かなパラメータに対して出力が不連続的な応答を示す場合に,従来の多項式カオス展開では大きなオーバーシュートが生じ,非物理的な現象を予測しうるという問題点がある.先行研究におけるmulti-element法はパラメータ空間を分割し,各部分空間で多項式カオス展開を適用することで不連続の影響を抑制するという手法であるが,推定誤差によるパラメータ空間の分割では分割数が増大し,計算コストが高くなるという問題があった.提案手法では,エッジ検出によって不連続の位置を正確に推定し,その情報に基づいてパラメータ空間を分割することで,必要最小限で不連続的な応答を捉えることができる.
当該年度には,入力の不確かさが一次元の問題に対して提案手法を定式化し,複数のベンチマーク問題での検証を通して提案手法の有効性を示した.具体的には,提案手法により,既存のmulti-element多項式カオス展開の5分の1以下の計算コストで不連続的な応答を捉えられることを示した.
また,提案手法を超音速複葉翼周り流れの数値解析に適用することで,既存の手法では困難であったチョーク現象による抵抗係数の急激な増加を高速に捉えることができた.この結果は,提案手法により非線形現象を考慮した上で空力性能のロバスト性や信頼性を高速に解析できることを示している.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該年度の計画であった,ベンチマーク問題を対象とする提案手法の検証が完了した.さらに,数値流体力学の計算コードへの実装も完了し,実用的な空力設計問題における提案手法の有効性を示した.これらの内容は複数の学会で発表済みであり,当該年度の結果をまとめた論文は現在国際学術誌で査読を受けている.

今後の研究の推進方策

今後は多次元の不確かさをもつ問題への提案手法の拡張に重点的に取り組む.多次元のパラメータ空間では,これまでに取り組んできた一次元空間と比較して不連続の現れ方が複雑になるため,不連続位置を表す超曲面の多項式近似や分割後の部分空間に対するRosenblatt変換を導入する予定である.
提案手法の拡張後は,当該年度に取り組んできた空力設計問題よりも実用的な大規模問題に取り組む方針である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] An Intrusive Multi-Element Polynomial Chaos Method Based on Edge Detection Technique for Uncertainty Quantification2019

    • 著者名/発表者名
      Shigetaka Kawai and Akira Oyama
    • 学会等名
      3rd International Conference on Uncertainty Quantification in Computational Sciences and Engineering
    • 国際学会
  • [学会発表] エッジ検出技術に基づいたintrusive型不確実性定量評価手法の開発2019

    • 著者名/発表者名
      河合成孝,大山聖
    • 学会等名
      日本機械学会 第29回 設計工学・システム部門講演会

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi