主に火山地域の深さ10-50kmで発生する深部低周波地震について、震源の再決定と波形相関によるグループ分類、連続データからの検出を行うことで、その地震カタログを全国53箇所において作成した。このカタログを利用することにより、各地域における深部低周波地震の震源分布とその活動の特徴について解析を行ったところ、霧島山・御嶽山・雌阿寒岳・桜島において新たに深部低周波地震の活動と火山活動の対応を発見した。霧島山においては、2011年1月に発生した準プリニー式噴火と対応して2009年12月から2011年9月頃にかけて、地殻変動とよく対応して深部低周波地震の活発化が発生していた。霧島山において、深部低周波地震はこれ以外の期間にも定常的に発生しているが、この噴火前後に発生した深部低周波地震ではその地震波がより低周波に卓越し、震源も数km程度深く位置していることがわかった。地殻変動源は噴火した新燃岳からみて北西に位置していると考えられているが、深部低周波地震の震源は南東に位置している。つまり、この結果により、霧島山での地下深部からのマグマ供給システムへの理解がより深まり、単に鉛直にマグマが上昇するだけでなく、水平方向にも移動しながらマグマが上昇することがわかった。本年度では、この霧島山での解析結果を国際誌に投稿し、受理・掲載された。また、全国的な深部低周波地震の分布や活動の特徴と御嶽山・雌阿寒岳・桜島での活動の特徴についても国内学会において発表し、国際誌への投稿準備を進めた。
|