本年度はフィードバック制御による動的加工パスによる加工について実験、考察を行った。 昨年度開発した力センサによる負荷監視システムにより、加工時にツールにかかる反力を監視し、その値を基に加工パスを動的に変更する、動的加工パスのアルゴリズムについて考察した。加工時の状況を反映できない静的加工パスでは、材の種類や木目の方向など、最適な加工のために想定しなければならないパラメータが膨大であり、事前に決定することが困難である。反力に応じて加工パスを小さい負荷となるように動的に変更し、これを繰り返すことで事前に加工パラメータを想定しなくても過負荷なく加工することができる。本研究の動的加工パス手法を彫刻刀による加工に適用し、過大な負荷となる加工を避けながら、加工を完遂できることが確認できた。 また、フィードバックによる動的な加工に対して、加工の達成度を評価する手法について検討した。繰り返しパスを変更しながら加工する動的パスでは、所定の形状を得られているかどうかは直観的に明らかではない。また、彫刻刀といったツールの場合、テクスチャとしての加工の痕が生じるため、設計の幾何データと加工された形状を単純に比較することができない。点群として取得した加工結果を操作し、設計幾何データとの比較を行う加工達成度評価手法について検討した。 得られた成果は論文としてまとめ、論文誌等に公表した。また、これらの成果は博士論文としてまとめている。
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