研究課題/領域番号 |
19J12631
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
吉良 悠吾 広島大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | 抑うつ予防 / 学校臨床 / 教師 / 教育相談スキル |
研究実績の概要 |
今年度は、①教員に対する訓練を実施していない高校における学校規模の抑うつ予防介入実施に伴った生徒と教員の変化の測定、②教員の生徒と適切に関わるスキル(教育相談スキル)を向上させる訓練法の開発を行った。 ①では、まずプログラム実施のための教材作成を行った。その上で、学校規模の抑うつ予防プログラムの実施やその補助を行う者に対してプログラム内容や実施時のポイントについて説明を行った後、模擬授業を通じたプログラムの実施練習を行った。そして、研究実施機関の倫理審査委員会に倫理審査を受けた上でプログラムを実施し、生徒と教員の変化を測定した。また、2018年度に行った教員に対する調査データを分析した結果、学校規模の抑うつ予防介入を実施した場合、教員に対する訓練を実施していない高校においても、教育相談スキルの低い教員のスキルは向上することが示唆された。 ②では、文献レビューを通じて、教員の教育相談スキルを向上させるために重要となる要因を明らかにし、教員に対する訓練法の実施内容を決定した。現在、訓練法実施のための資料や教材の作成を行っており、実施予定校と教員に対する訓練の実施時期についての打ち合わせをを予定している。 これらのことから、①により、学校規模の抑うつ予防プログラムのみを実施した高校における教員の教育相談スキルの変化を明らかにするとともに、教員に対する訓練を実施していない高校(統制群)のデータ収集が完了した。そして、②により、開発した教員に対する訓練法の効果検討を行う研究2と、訓練を実施した高校と実施していない高校における学校規模の抑うつ予防プログラムの効果を比較する研究3の実施準備が完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在の研究課題の進捗状況として、①教員に対する訓練を実施していない高校(統制群)のデータ収集が完了したこと、②教員の教育相談スキルの向上を目的とした訓練法の実施内容が決定したこと、の2点がある。これらにより、次年度、開発した訓練法を実施し、研究2と研究3を行う準備が整っている。 しかしながら、教員に対する訓練法を開発するために、教員の教育相談スキルと生徒の抑うつに関する研究の第一人者であるPatrick Possel博士と連絡を取るなどしていたことで、当初予定していたよりも訓練法の開発が遅れている。これにより、研究期間中に1年間のフォローアップ調査を行うことは難しくなった。 以上より、研究課題は(3)やや遅れていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究課題の推進方策として、学校規模の抑うつ予防プログラムとともに、現在までの研究により開発された教員の教育相談スキルの向上を目的とした訓練法を実施する。そして、訓練法を実施した高校と実施していない高校において、①教員の教育相談スキルの変化と、②生徒の抑うつやその関連要因の変化の違いを比較することで、開発した訓練法の効果と、訓練実施に伴った学校規模の抑うつ予防プログラムの効果の変動を明らかにする。
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