研究課題/領域番号 |
19J12667
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
芦谷 圭祐 大阪大学, 法学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | 政治学 / ジェンダー / 政治的代表 / 地方政治 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、政令指定都市(政令市)の議会を事例に、政治的代表についての実証分析を行うことである。特に「女性の利益」に着目して、計量テキスト分析などの分析手法を活用しながら、代表過程の全体像を明らかにすることを目指す。 本年度は、代表論に関する政治理論と実証研究の整理を行い、計量テキスト分析を実施した。 第一に、代表論に関する実証分析と政治理論の近年の蓄積をレビューし、研究の動向と、新たに検証されるべき問いを整理した。特に、Michael SawardやLisa Dischを中心とする、政治理論の構築主義的転回(constructivist turn)に注目し、実証研究がいかに検証していくのかを検討した。レビュー論文として要約し、査読付き学術誌である『阪大法学』に投稿し、掲載された。 第二に、以上のレビューを踏まえ、政令市議会の委員会討論を対象に計量テキスト分析を実施し、誰がどのように女性の利益を代表しているのかを明らかにした。まず、旧五大市(横浜市、大阪市、名古屋市、京都市、神戸市)を対象に、2011年4月から2015年3月までの常任委員会における常任委員の全発言を収集し、データセット(コーパス)を作成した。さらに、得られたデータセットに計量テキスト分析の一つである構造的トピックモデル(structural topic model)を実施し、文書がどのようなトピックによって構成されているのかを推定した。それにより、政令市でどのように女性の利益が代表されているのか、誰がそれを代表しているのかを明らかにした。研究結果は、日本政治学会(於成蹊大学)で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
幅広い先行研究の整理、データの収集及びデータセットの構築、計量テキスト分析の実施などを滞りなく行うことができた。1件の学会報告を行い、1本の論文が査読付き学術誌で掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
第一に、計量テキスト分析の推定結果をより詳細に検討する。女性の利益にかかわらず、様々な利益の代表のされ方に注目し、政策領域ごとにどのような代表のパターンがあるのかを明らかにする。論文としてまとめ、公表することを目指している。 第二に、女性議員がいることの有権者への効果を検証する。象徴的代表(symbolic representation)に着目し、女性議員(候補)がいる選挙区で女性の投票率が向上するかどうかを確認する。政令市の投票所ごとの投票率のデータを収集し、統一地方選挙のデータを主に用いて、仮説を検証する。
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