研究課題/領域番号 |
19J13000
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
北村 智美 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | 慢性閉塞性肺疾患 / セルフマネジメント / 呼吸リハビリテーション / 在宅医療 / 訪問リハビリテーション / 訪問看護 / レセプトデータ / インタビュー |
研究実績の概要 |
慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)患者に対するセルフマネジメント教育を中心とした呼吸リハビリテーション(以下呼吸リハ)は、QOL向上や再入院予防に寄与する標準治療であるにも関わらず、普及率は世界的に低い。外来呼吸リハのアクセスの限界を克服するために在宅呼吸リハの推進が望まれているが、その提供実態や効果は明らかになっていない。また、在宅医療利用者の症状や介護度が重いという特徴を踏まえた上でも実践可能で標準化されたケア方法は確立していない。そこで本研究では、在宅呼吸リハを提供する1つの方法として訪問リハ・訪問看護に着目し、COPD患者に対する訪問リハ・訪問看護の提供実態と再入院予防効果を明らかにすること、さらに、訪問リハ・訪問看護で提供可能な在宅呼吸リハビリの根幹となるセルフマネジメント教育プログラムを作成することを目的とする。 平成31年度は、①医療レセプト・介護レセプト連結データを用いた在宅呼吸リハの提供実態に関する調査と、②在宅呼吸リハを提供するリハビリ専門職・看護職に、セルフマネジメント教育を含む在宅呼吸リハの課題に関するインタビュー調査の2つの調査を行なった。 ①では、在宅呼吸リハの利用実態として利用率・利用期間・利用者の特性等を量的に調査した。その結果、慢性閉塞性肺疾患患者に対する在宅呼吸リハの普及率は低いことが示され、普及に向けた取り組みが必要であると考えられた。今後は、在宅呼吸リハの利用と再入院や要介護度の変化等アウトカムとの関連について分析予定である。②では、在宅呼吸リハを提供するリハビリ専門職・看護職に、セルフマネジメント教育を含む在宅呼吸リハの課題についてインタビュー調査を行なった。インタビュー結果については現在分析中である。 次年度は、レセプトデータを用いた分析結果とインタビューの結果を統合し、在宅版セルフマネジメント教育プログラムを作成する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、慢性閉塞性肺疾患患者に対する在宅呼吸リハビリテーション(以下呼吸リハ)を推進するため、在宅呼吸リハの提供実態やその効果を明らかにすること、さらに、在宅呼吸リハの根幹となる在宅版セルフマネジメント教育プログラムを開発することを目的としている。 平成31年度は、研究A)医療レセプト・介護レセプト連結データを用いた在宅呼吸リハの提供実態に関する調査と、研究B)在宅呼吸リハを提供するリハビリ専門職・看護職に、セルフマネジメント教育を含む在宅呼吸リハの課題に関するインタビュー調査の2つの調査を行なった。 研究Aでは、在宅呼吸リハの利用実態として利用率・利用期間・利用者の特性等を量的に調査した。その結果、慢性閉塞性肺疾患患者に対する在宅呼吸リハの普及率は低いことが示され、普及に向けた取り組みが必要であると考えられた。今後は、在宅呼吸リハの利用と再入院や要介護度の変化等アウトカムとの関連について分析予定である。研究Bでは、在宅呼吸リハを提供するリハビリ専門職・看護職に、セルフマネジメント教育を含む在宅呼吸リハの課題についてインタビュー調査を行なった。インタビュー結果については現在分析中である。 今年度は、研究Aのデータの確認・データ整理に予定以上の時間を要し、レセプトデータを用いた分析結果とインタビューの結果を統合し、在宅版セルフマネジメント教育プログラムを開発するまでには至らなかったため、「(3)やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、医療レセプト・介護レセプトデータを用いた分析を継続して行い訪問リハ・看護の利用と再入院率や要介護度変化との関連を縦断的に分析する。また、今年度実施した訪問看護ステーションで勤務するリハビリ専門職・看護職に対するインタビュー調査に関しては、実践内容に着目しながらデータを分析し、在宅呼吸リハの効果や実践の課題を明らかにする。 レセプトデータ分析やインタビュー調査を通じて明らかになった在宅呼吸リハにおける特徴や課題を踏まえ、今年度は、訪問リハビリ・訪問看護で提供可能な在宅呼吸リハの根幹となるセルフマネジメント教育プログラムを作成するところまで実施する。プログラム作成の際は、有識者を交えた検討会(呼吸器内科医師、訪問診療医師、慢性呼吸器疾患認定看護師、呼吸療法認定士資格を持つリハビリ専門職・看護師)を開催し、プログラム内容に関する妥当性や実現可能性に関する検討を行う。
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