研究課題/領域番号 |
19J13042
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石塚 理人 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | CXCR7 / CXCL12 / β-アレスチン / 心筋梗塞 |
研究実績の概要 |
アンジオテンシンII受容体、βアドレナリン受容体などの7回膜貫通型受容体は、心臓での重要性が知られている。その多くは、Gタンパク質と共役し下流シグナルを送るGタンパク質共役型受容体であるが、ケモカイン受容体CXCR7はGタンパク質と共役しないことが知られている。当初はおとり受容体ではないかともされたが、β-アレスチン経路を偏向性に活性化することが近年判明した。β-アレスチン経路は心臓に保護的に働くことが知られている。CXCR7は心臓での発現が報告されている。本研究の目的は、β-アレスチン偏向性受容体CXCR7の心不全進展過程における機能を解明する事である。 研究内容は、(1) 心臓内でCXCR7が発現している細胞種の同定、(2) 心臓内を主に構成する心筋細胞、血管内皮細胞、線維芽細胞それぞれで、CXCR7をノックアウトしたマウスに対し、圧負荷心不全モデル、心筋梗塞モデルを作成し、どの細胞種におけるCXCR7がどのような心不全病態に関わるかの検討、(3) 心不全病態におけるCXCR7下流シグナル解析と標的薬の探索、である。 研究成果として、(1) 心筋細胞を主として、線維芽細胞に発現が多いことが判明した。(2) 心筋細胞でCXCR7をノックアウトすると心臓全体で約80%遺伝子発現が減少することから心筋細胞がCXCR7発現の主体であることか確認された。心筋細胞特異的CXCR7ノックアウトマウスでは、圧負荷心不全モデルに比較し、心筋梗塞モデルでより、表現型の増悪を認めた。(3) cell lineや新生仔ラット心筋細胞を用いて、CXCR7下流にβ-アレスチン共役、ERK活性化があることを示した。更に、マウス梗塞心臓の境界領域でCXCR7を介したERK活性化を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
心筋細胞にCXCR7が主に発現し、心筋梗塞モデルにおいて重要なことまで判明した。ここまでの成果を国際学会で発表するため演題応募し、国際誌への論文投稿も準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
心筋細胞CXCR7トランスジェニックマウスの作成、解析を行い、これまでの結果の裏をとる予定である。また新生仔ラット心筋細胞等を用いて、心筋細胞におけるCXCR7の下流シグナルを更に追求し、これまでの結果の機序をより詳細に解明する予定である。
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