研究課題
本研究では,組織透明化技術によって得られたマウス全脳イメージングデータをより精緻に解析するためのアルゴリズム・ソフトウェアの開発を進めている.前年度までの研究で,形状が微妙に異なる複数の脳を正確に位置合わせする計算(=レジストレーション)の手法を開発した.本手法は高い精度でマウス脳を位置合わせすることができるが,多大な計算資源を必要とし,実験で得られる数十個の脳を解析するには一般的な計算機環境では困難があった.そこで,本年度は,パブリッククラウドを活用することで簡便に大規模な全脳解析を実現することを目的とし,新たなプログラムの開発に着手した(CUBIC-Cloud と命名).CUBIC-Cloud では,計算機科学が専門でない生物学者・神経科学者でも全脳の解析が実施できるよう,直感的な Graphical User Interface (GUI) を提供している.CUBIC-Cloud を使うことで,研究者は多数のマウス脳のレジストレーションを行うだけでなく,結果を三次元のビューアーで可視化したり,定型的な定量化とグラフの作成をクラウド上で実施することができる.さらに,CUBIC-Cloud の実用的応用として,100個以上のマウス全脳の様々な解析を実施した.そのひとつとして,マウスの発達における Parvalbumin (PV) 陽性神経細胞の発現変化を解析した.3週から2年までの10の発達段階におけるマウス脳を採取しCUBIC-Cloudを用いて解析を行った.これにより,初期の発達や老齢によってPVの発現が大きく変化する脳領域を特定することに成功した.上記で述べた研究成果の一部をまとめた論文を Cell Reports Methods 誌に投稿し,査読を経たのち2021年4月15日付けで論文が受理された.
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)
Communications Biology
巻: 4 ページ: -
10.1038/s42003-021-01786-y
Cell Reports Methods
巻: - ページ: -