研究課題/領域番号 |
19J13189
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
徳岡 雄大 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | 深層学習 / 画像解析 / 発生生物学 / 初期胚 / セグメンテーション / 転移学習 |
研究実績の概要 |
本研究では、深層学習を用いた画像解析により、定量的に胚の質を評価し得る新たな分類指標を獲得し、初期発生胚の質を評価する手法を新たに確立することを目的としている。そのため本研究は、(1) 非侵襲的な初期発生過程の定量方法の確立, (2) 多様な生物種における初期発生過程の定量的手法の確立, (3) 初期胚の質の評価に最適な指標の獲得, という課題をそれぞれ並列して遂行する。 上記3つの課題に対して、平成31年度に行なった研究概要は以下の通りである。 (1) 非侵襲的に撮像できる明視野顕微鏡画像から、セグメンテーションデータセットを作成した。また、このデータセットを用いて学習を行うための明視野顕微鏡画像セグメンテーションアルゴリズムの実装と、その精度評価を行なった。さらに、明視野顕微鏡画像のセグメンテーション結果から、マウス胚の初期発生過程の定量的指標を網羅的に抽出した。 (2) ウサギ胚・ウシ胚の顕微鏡画像から転移学習を行うためのデータセットの作成を行なった。また、マウス胚で学習を行なったアルゴリズムに対して、作成したウサギ胚データセットによる転移学習を用いたセグメンテーションアルゴリズムの実装とその精度評価を行なった。 (3) 出生・非出生のラベルがアノテーションされたマウス初期胚データセットを作成した。このデータセットから、マウス胚で学習を行なったセグメンテーションアルゴリズムを用いて、出生胚・非出生胚の定量的指標を網羅的に抽出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成31年度は、(1) 非侵襲的な初期発生過程の定量方法の確立, (2) 多様な生物種における初期発生過程の定量的手法の確立, (3) 初期胚の質の評価に最適な指標の獲得, を達成する上で必要不可欠なデータセットの作成を完遂することができた。また、(1), (2)に関してはデータセットのみならず、アルゴリズムの構築にも着手することができ、各アルゴリズムのセグメンテーション精度評価も行った。その結果、当初は困難であると考えていた明視野顕微鏡画像のセグメンテーションを高精度に行うアルゴリズムを構築することに成功したため、平成31年度は十分な成果が得られたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況を踏まえた上で、各課題についての推進方策を述べる。 (1) 明視野顕微鏡画像のセグメンテーションが高精度に行えることが示されたので、ここまでの結果をまとめて学術論文誌に投稿する。 (2) ウサギ胚と同様にウシ胚についても転移学習を用いたセグメンテーションアルゴリズムの実装及び評価を行う。また、ウサギ胚・ウシ胚に関するここまでの結果をまとめて学術論文誌に投稿する。 (3) 出生胚・非出生胚を分類する学習アルゴリズムの実装及び評価を行う。また、学習した結果から定量的に胚の質を評価し得る新たな分類指標を探索する。ここまでに得られた結果をまとめて学術論文時に投稿する。
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