研究課題/領域番号 |
19J13359
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
永並 健吾 横浜国立大学, 環境情報学府, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | 位相幾何学的グラフ理論 / 閉曲面上のグラフ / 再埋蔵理論 / 平面的グラフ / 有向グラフの埋め込み |
研究実績の概要 |
位相幾何学的グラフ理論では閉曲面上に埋め込まれたグラフを扱う.一般に,グラフは同一閉曲面上に形の異なる埋め込みを複数持つことがある.本研究の目的は,それら異なる埋め込みが持つ性質の差異の解明や,異なる埋め込みを生成するような機構の構築(再埋蔵構造と呼ぶ)を行うことである. 当該年度は「球面以外の閉曲面に埋め込まれた3-連結3-正則平面的グラフの再埋蔵構造」を構築した.射影平面,トーラス,クラインボトルという3つの閉曲面への埋め込みについては,それぞれ数種類の特徴的な構造に分類できることを示し,それらを用いることで異なる埋め込みの個数の明示的な評価を与えた.さらに,一般のグラフにおいては困難とされている,異なる埋め込みを効率的に列挙するアルゴリズムも構築した. また,上記の手法を有向グラフの埋め込みへと拡張させ,「有向平面的グラフの再埋蔵構造の分類」についても行った.この拡張手法を用いることによって,Archdeaconら(2017)が証明した「有向グラフ版Whitneyの定理」の簡易な別証明を与えており,本研究の再埋蔵手法の汎用性は高いと思われる. 前述の結果についてまとめた論文はすでに学術雑誌Discrete Mathematics and Theoretical Computer Scienceに受理されており,後述の結果については現在論文を投稿中である.この他にも位相幾何学的グラフ理論に関するいくつかの結果を与えることができ,それらの成果を国内外の学会・会議において発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
「3-連結3-正則平面的グラフの再埋蔵構造」の分類を行うことで,異なる埋め込みの個数や列挙についても言及する手法が構築できた.また,それらの議論をうまく「有向グラフの埋め込み」に関する議論へと拡張することに成功し,期待以上に研究の進展があったと言える.
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で当初参加を予定していたいくつかの会議が中止になったり,他の研究者との情報交換や共同研究を直接行えなくなったりしてしまったが,今後はオンラインでの会議参加や研究地合わせを行う.特に,次年度については研究者協力者とともに「グラフの再埋蔵理論」と「グラフの彩色問題」との関連について研究を進める.特に,Kundgen・Ramamurthi(2002)が提唱したweak coloringに関する予想について考察を行う.
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