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2019 年度 実績報告書

褐色腐朽菌の木材分解初期に与える光の影響

研究課題

研究課題/領域番号 19J13596
研究機関東京農工大学

研究代表者

田中 裕基  東京農工大学, 大学院連合農学研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2019-04-25 – 2021-03-31
キーワードオオウズラタケ / 褐色腐朽 / 光
研究実績の概要

褐色腐朽菌オオウズラタケ(Fomitopsis palustris)による木材腐朽は光照射によって促進されることが知られている。本研究では褐色腐朽菌の光応答を明らかにすることを目的に研究を行った。種々の光条件下においてオオウズラタケによるスギ辺材の腐朽試験を行い、菌の成長や木材腐朽力に与える光の影響を評価した。その結果、寒天培地上では遮光下において最も菌糸が速く拡がり、次いで、赤色光において速く拡がった。また、白色光および青色光下では菌糸の拡がりは遅かった。一方で、菌糸重量に関してはどの条件においても大きな差は認められなかった。さらに、単位面積あたりの菌糸重量を算出したところ、白色光下で最も値が大きく、菌糸が厚く成長しており、反対に遮光下では菌糸が薄く成長していることが明らかになった。菌糸の見た目についても光条件間で様子が異なり、光が菌糸成長に及ぼす影響は大きいと示唆された。
スギ辺材の腐朽試験を行った結果、木材サンプル表面の菌糸は腐朽1週目においては、光条件間で大きな差は確認されなかったが、腐朽が進むにつれて、遮光以外の条件では菌糸が成長し、寒天培地上での菌糸成長と同じような結果が得られた。また、遮光下では1週目以降木材サンプル表面の菌糸が成長しなかった。木材腐朽力に関しては、白色光下で最も腐朽が進行し、遮光下では最も腐朽が進行しなかった。さらに赤色光および青色光下でも腐朽が進行したことから、どちらの光も腐朽に関与していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在までに種々の光条件で腐朽試験を行い、その際のオオウズラタケ菌糸および腐朽材の回収が予定通りに完了している。また来年度に向けて、顕微鏡観察や遺伝子の解析に向けた準備もすでに完了している。

今後の研究の推進方策

回収した腐朽材の各種顕微鏡観察を行い、木材中の菌糸の成長や木材成分の分解に与える光の影響を評価する予定である。またそれと同時に、遺伝子の発現に及ぼす光の影響をリアルタイムPCRにより評価する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Characterization of Pectinases from Brown-rot Fungus Fomitopsis palustris2019

    • 著者名/発表者名
      Yuki Tanaka, Naotake Konno, Tomohiro Suzuki, Naoto Habu
    • 学会等名
      The International Research Group on Wood Protection
    • 国際学会
  • [学会発表] 褐色腐朽菌オオウズラタケが産生するデンプン分解酵素の解析2019

    • 著者名/発表者名
      田中裕基、藤江朝未、金野尚武、石栗太、羽生直人、鈴木智大、相蘇(眞田)春菜
    • 学会等名
      日本木材保存協会
  • [学会発表] 木材腐朽菌オオウズラタケ由来の澱粉分解酵素の特性解析2019

    • 著者名/発表者名
      田中裕基, 藤江朝未, 金野尚武, 鈴木智大, 相蘇(眞田)春菜, 石栗太, 羽生直人
    • 学会等名
      日本きのこ学会

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公開日: 2021-12-27  

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