研究課題
本研究は、カスケードガンマ線放出核種を対象とした二光子同時検出法を用いた新しい分子イメージング法の有用性を示すことを目的としたものである。本年度は引き続き固体センサによる電子飛跡計測技術の開発と二光子同時検出法の検証を行った。電子飛跡計測技術に関しては、マイクロメートルのピクセルサイズを有する大面積SOIセンサにおいて、時間情報とエネルギー情報を各イベントごとに取得できるようになった。二光子同時計測法の検証に関しては、まず、昨年度行ったパラレルホールコリメータとシンチレータ検出器による111Inと177Luの同時撮像検証を実験体系を改善して再度行った。それぞれの核種の可視化に成功し、二光子同時計測によりエネルギー分解能の制限によるスペクトルのオーバラップや他のガンマ線の散乱線によるバックグラウンドが低減できるとともに高感度に位置が特定できることを分布線源などを用いて示すことに成功した。さらにコンプトンイメージングにおける二光子同時計測法の適用検討も実施した。211At、18F、111Inの治療・PET診断・SPECT診断3核種同時撮像をリング型Compton-PETハイブリッドカメラを用いて行い、それぞれの核種のコンプトンイメージング、および18FのPET画像の取得に成功した。さらに111Inと18Fのコンプトンイメージングに対し二光子同時計測法を適用した。具体的にはイメージングに使用するガンマ線のコンプトンイベントと、さらに連続的に放出されるもう一本のガンマ線の光電吸収イベントの同時計測を行った。その結果、高エネルギーのガンマ線によるバックグラウンドの低減に成功し、二光子同時計測法の多核種コンプトンイメージングへの有用性を示すことができた。本研究では二光子同時計測法による高感度位置特定や多核種撮像におけるバックグラウンド低減の有用性をいくつかの適用方法で示すことができた。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 産業財産権 (1件)
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A: Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment
巻: 954 ページ: 161682~161682
10.1016/j.nima.2018.11.141
応用物理学会放射線分科会会誌『放射線』
巻: 46 ページ: 49-53
IEEE Transactions on Nuclear Science
巻: 67 ページ: 988-993
10.1109/TNS.2020.2975296