研究課題/領域番号 |
19J13848
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
三枝 巧 筑波大学, 人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | 実験系心理学 / ブラインドサッカー / 聴覚情報 / 音源定位 / 頭部運動 |
研究実績の概要 |
ブラインドサッカーでは,変化する外的環境のなかで音を知覚し,音源定位を行うことが求められる.従来の研究において,頭部運動は音源定位の正確性の向上に寄与することが示唆されている.しかしながら,ボールトラップのようなブラインドサッカー特有の課題において,熟練者がどのような方略を用いて音源定位を行っているのかは検討されていない. そこで本研究は,実際の運動場面であるボールトラップ課題を設定し,ブラインドサッカー熟練者の優れた運動技能にみられるボール位置を正確に定位するための方略と考えられる頭部運動の特徴を明らかにすることを目的とした. 初年度は,ブラインドサッカー熟練者と晴眼の非熟練者を対象に,4.5m先から左右に転がるボールを右足でトラップする課題を設定し,熟練者のボールトラップにおける頭部運動の特徴について検討を行った.その結果,ボール投射時の垂直面の頭部角度については,両群に有意な差はみられなかった.しかしながら,ブラインドサッカー熟練者のボールトラップ時の下方向への頭部角度は,非熟練者と比較して有意に大きかった.パフォーマンスについて,ブラインドサッカー熟練者のボールトラップにおける足とボール間の誤差は,非熟練者と比較して有意に小さかった.本研究の結果から,ブラインドサッカー熟練者はボールを精確にトラップする際,下方への大きな頭部運動を用いて音源を定位する方略を用いている可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,ブラインドサッカー熟練者のボールトラップにおける頭部運動の特徴について検討し,精確なボールトラップにおいて下方への大きな頭部運動を行っていることを明らかにすることができた.さらに,国際学会において,本研究成果の一部を発表した.したがって,本研究は当初の計画通りに進行していると思われる.
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究では,ブラインドサッカー熟練者がボールトラップにおいて下方への大きな頭部運動を行っていることを明らかにしたものの,熟練者の頭部運動を用いた方略がボールトラップの学習に与える影響については検討できていない.そこで,次年度の研究では,頭部運動がボールトラップの学習に与える影響について明らかにすることを目指す.また,ブラインドサッカー熟練者が複数人でパス・トラップを行う際の,ボールや人の位置を定位するための方略についても検討する予定である.
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