5-7縮環系からなるアズレン環を埋め込んだナノグラフェンは、通常の6員環のみからなるナノグラフェンとは異なる性質を示す場合が多く、潜在的な新規材料として魅力的である。本研究においては、特に連続アズレン環を特徴とするナノグラフェンを設計・合成し、その物性に関する情報を収集した。詳細な検討を行った結果、前年度までに見出したキラリティに加え、本化合物は特徴的な自己会合挙動を示すことを明らかにした。また、この自己会合は本化合物の平面部位同士の相互作用に基づくものであり、電気化学特性にも影響するものであることがわかった。アズレン含有ナノグラフェンの新たな合成手法を提供するため、新規反応の開発にも取り組んだ。標的化合物に特徴的な、高度に縮環した5員環構造を一挙に構築する、新規な遷移金属触媒反応を見出すことができた。現状では反応効率に課題があるものの、今後、特徴的な構造を有するナノグラフェンの創製に有用な手法となることが期待できる。
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