研究課題/領域番号 |
19J14170
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
米村 美紀 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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キーワード | 環境騒音の評価 / 純音性騒音 / 聴覚心理 |
研究実績の概要 |
環境騒音のうち,機械から発生するものなどに卓越した純音性成分が含まれることがあり,それが要因となって聴感印象を損ね苦情問題に発展する事例がある。既存の騒音評価指標ではこの問題を適切に評価できないため,純音性に着目した評価手法を開発する必要がある。その基礎として,純音性成分の強度および周波数,背景騒音の周波数特性および音圧レベルによって,聴感印象がどのように影響を受けるかを定量的に評価した。 聴感印象として,①ラウドネス,②わずらわしさについて聴感評価実験を実施した。国際的に用いられつつある純音性可聴度(TA)を純音性の指標とし,一般の環境騒音をモデル化した広帯域ノイズに純音性成分が混入した場合の試験音を用いて実験を行い次の結果を得た。 ①純音性成分が含まれることによるラウドネス変化量は,純音性成分の周波数や背景騒音の周波数特性の組み合わせによって異なった。また騒音の評価量に関して,環境騒音の評価のために一般的に用いられているA特性音圧レベルは,純音性成分が強くなるほど心理量との乖離が大きくなり,問題がある可能性を指摘した。そのような場合には,Moore-Glasbergのラウドネスレベルが心理量をよりよく反映することを明らかにした。 ②騒音のわずらわしさ(ノイジネス)に関する実験では,純音強度とペナルティの関係について定量的な結果を得た。純音性成分がわずらわしさに及ぼす影響は,背景騒音のレベルにも大きく依存し,背景騒音レベルが低いほど,すなわち静穏な環境ほど,純音性成分の影響が大きいことを定量的に示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に沿って,純音性騒音の評価において重要と考えられる可聴性,ラウドネス,わずらわしさの3点について基礎的な知見を得るとともに,騒音評価量についての考察を深めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
ラウドネスについて,純音周波数と背景騒音の周波数特性の組み合わせによって傾向に差異があらわれることの原因を追求するため,より基礎的な実験(マスキング閾値の計測)を実施し,ラウドネス理論など聴覚に関する知見を参照しつつ考察を深める。並行して,複数の純音性成分が含まれる場合の検討を行い,結果をふまえて環境アセスメントに適用可能な評価方法を提案する。
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